昨年『オリエント急行殺人事件』を読んだ息子が、TVにはいると騒ぐので、映画を初めて見せました。
活字から入って楽しませたかったので、映画があることを隠していましたが(笑)、鼻息も荒く興奮していました。
翌日また本を引き出し読んでいました。
『オリエント…』もそうですが、こちらの絵本もセンダックが幼児期に受けた「リンドバーグ赤ちゃん誘拐事件」(1932年3月1日)の恐怖の日々から受けた外傷・内面心理を投影させたものだそうです。
なるほど、父親は遠い海の上で、母親がうつろで頼りなく描かれているわけです。
ゴブリンという精霊は、子どもにとっては得体の知れぬ何時やってくるかわからぬ不気味な「子盗り」に見立てられています。
妹奪還のために、タイトルにもある「窓の外のそのまた向こう」の妖気漂う世界へむかうアイダを力づけ導くのは、父親の歌。
この妹奪還成功のお話しが、センダック自身と得も言われぬ恐怖心を抱き始める年頃のこどもたちに、「大丈夫、大丈夫」と心を落ち着かせてくれているように解釈しました。