「シナの五にんきょうだい」のビショップと「かもさんおとおり」のマックロスキーの組み合わせに、まずはびっくりしました。私の頭の中の絵本地図では、まったく違うところにいる人たち。
ストーリーは面白いです。最初の一文「あるあさ、おとこが おきたら、あたまがなかった」で、まず、読み手の心をグッとつかみます。そして、頭を失くしてしまった男に対し、まわりの人が「あたまがきれる」「あたまをいためる」「あたまがない」「あたまがまわる」という言葉を使って話しかける場面は、洒落がきいていてユーモラスです(原文はどうなっているのでしょう?)。話の後半、失くした頭がどんな頭だったかをパーツを一つ一つ思い出しながら繰り返していく文章には繰り返しの面白さがあり、ビショップのプロフィールに「ストーリーテラー」とあるのと大いに関係があるように思いました。
絵は、楽しんで描かれた絵という感じがします。ストーリーの面白さが、絵の描き手であるマックロスキーのいたずら心を刺激している気がします。お話の最後には、(できのいい?)頭がちゃんとあって、やれやれ、一安心!!
1942年初版のこの本は、日本では2011年に出版されました。「頭がない」というシュールな状況が日本の子どもたちや、子どもに絵本を読む大人たちに受け入れられないのでは?と考えられてきたのかもしれません。確かに小さい子にはちょっと・・・という感じ(頭のない絵を見るとドキッとします)。でも、大きい子どもたちは、喜んで楽しむことと思います。大きくなると、ありえない話を、ありえない話として楽しめるようになるのでしょう。それは、すごい成長だと思います。