幕末のころ、嵐の中で遭難した漁船の日本人がアメリカの船に助けられた。
彼らがアメリカに渡り、ジョン万次郎やジョセフ・ヒコのような歴史に名を残す日本人が生まれる。
そんな中で、表舞台に出ることのなかった仙太郎のお話です。
目立つ存在ではなく、臆病者で仕事は遅いが、実直で辛抱強い。
どちらかというと立ち振る舞いで損な性格だから、周りからは埋もれてしまう。
長崎さんはそんな仙太郎の生き方にスポットをあて、不器用な生き方にも意味があることを語っています。
周りの者が活躍する中で、仙太郎は自分の生き方で満足してしまう。
考えるとそんな人々が社会を支えているのかもしれません。
もう少し自分を大切にしたらいいのにとか、物事に疑問を持ってもいいのではないかとは思うのですが、仙太郎には仙太郎の生き方がありました。
仙太郎が幼い日からあこがれていたナミが、仙太郎の生き方を支えたのです。
仙太郎は満足して死んでいきます。
地味なお話です。
絶版になっているので探すのは難しいかもしれません。
偉人たちの伝記ばかりではなく、こんな生き方に目を向けるのも貴重だと思います。
仙太郎は敗者ではないのですから。