理屈抜きに面白い!子供たちが直面するささやかなトラブルのお話ですが、これが素直に笑えます。
おかあさんが焼いた、おやつのクッキー。食べようとすると、何故か友達がやってくる。友達の数はドンドン増えて、とうとう一人一枚に・・・なのに、またまたベルが「ピンポーン!」さあ、どうしよう・・・?
ハッチンスの絵本は、モダンでウィットが利いていて、すごく好みです。ここに描かれている「え〜どうしよう?」という感覚って、端から見ている分には、ちょっと楽しいドキドキを味わえちゃったりする。当人はとっても困ってるんだけどね。その辺の、ちょっとビミョーな気持をストーリーの鍵にするあたり、さすがのセンスです。
カラフルな絵柄は好みが別れるかもしれませんが、子供たちがドンドン増えてきて落ち着かない様子が、良く伝わってきます。荷物がドアの脇に積み重なっていくのもなんだか楽しい。外国のホームコメディを見ているようです。
数の感覚が解らなくても、『おやつを分ける→分け前が減る』ということが解っているくらいの年齢ならば、充分楽しんでくれます。はじめてお話会で使った時には、食い入るようにみていた4歳の女の子が、最後の「「ピンポーン!」の場面で「え〜こまっちゃうじゃん」とつぶやきました。
そして何よりすてきなのは、結局みんながハッピーになれる、幸せなどんでん返しが待っていること。「え〜どうしよう?」のドキドキと、解決したときの爽快感を味わえる、最高級のエンターテイメントです。