15才の兄と、10才と8才半と7才の姉たちの後に末っ子のトビアスは生まれてきた。生まれて10分後に、母は医師から「トビアスは障害児です」と告げられた。主産〜トビアスを受け入れ、ダウン症のトビアスについて書く事にしたいきさつが子どもたちの絵と言葉で語られる。
「私たちのトビアス」は1975年にスウェーデンで出版され、その後「わたしたちのトビアス、大きくなる」(1977年)、「わたしたちのトビアス、学校へいく」(1982年)と続く。
トビアスが生まれる前、生まれた後、赤ちゃん、幼児期、保育園、特殊学級。それぞれの場面でのトビアスのふるまいと、家族や友達の反応や対応。筆者であるトビアスの家族や兄弟の意見なども書かれていく。成長するのはトビアス本人だけではない。家族も結婚して家から出たり、再婚したり、亡くなったり…ダウン症の人の日常と関わっていく人たちの具体的な事例が、印象的な絵と文でつづられる。
3作目「学校」の最後に、トビアスが24歳の若者になったことが明かされた。性の目覚めや、職場(授産所)での活動、家庭での様子について、父が語る。
こんなにもトビアスは、家族に愛され、周囲の人に愛され、適切な対応を成されて生活を楽しんでいる。もちろん大変だったことも語られているけれど、こういう風にお互いを助け合うのが普通、という素晴らしい家庭に生まれてきた人たちは幸せだ。
障害を理解するためだけではなく、誰でも一度は読んでみてもらいたい作品。将来に希望が持てない時に読んだり、人間の愚かさに絶望した時に読んでもいいと思う。大事なことを教えられる本だ。