赤い靴にはどんな魔力があったのでしょうか。
一度履いたら決して脱げず、いつまでも踊り続けねばならなくなったカーレンのお話です。
履いて行ってはいけない教会へ赤い靴を履いて行き、恩を受けた奥様の看病もせず舞踏会へと向かった報いでしょうか。
読みながら「パンを踏んだ娘」の話を思い出していました。
アンデルセンのお話は時として残酷で、衝撃的で、心に残ります。
最後、カーレンはまっすぐ前を見つめ、歩き出します。
そして、牧師館で無償で働き、自分の犯した罪を償うのです。
最後は天に召されるカーレン。「マッチ売りの少女」や「人魚姫」と同様、やはり宗教色を強く感じますが、実に美しい終わり方です。
格調高く美しい文章と、透明感のある幻想的な挿絵が、この作品を一段と芸術性の高いものにしています。
怖ろしくも美しい、一度読んだら忘れられない作品です。