読み終わって、私と奥さんは感動したのですが、息子の反応は今ひとつ。
戦争の中で、振り回されたテディ・ベア。第2次大戦での、ドイツのユダヤ人迫害。アメリカの人種差別。骨董品店でのデビットとの再会と、オットーとの再会。
時代に振りまわされながら、とても大切なものを伝えていると思いました。
ただ、この絵本の中にある「時代」を伝えることに難しさを感じます。ありきたりに戦争の悲惨さを伝えるだけでは充分ではないと感じたからです。
「ユダヤ人」というキーワード、オバマ大統領就任までのアメリカの人種差別と黒人の貧困、ウンゲラーは「時代」を鋭い視点で絵本に取り込んでいます。
どのレベルで子どもに伝えるか? 戦争を知らない親であり、オイルショックを知らない親であり、あまり日常に危機感を感じなくなった大人たち。
ウンゲラーの絵本は、風刺が効いていて辛口です。
数奇な運命を経て、再会したオットーとデビッドとオスカー。この絵本には感動があります。深みもあるだけに何度も読み返したいと思います。