迷いに迷った末、6年生の教室で読みました。
なぜ迷ったのかというと、戦争を扱ったものを朝読書の時間に読むのは、ボランティアの立場としてはどうなのかと考えるところがあったのです。
でも、戦争そのものがテーマというわけではありませんし、なにより心に沁み込んでくる内容なので、あと2回しか機会のない6年生の読み聞かせに読むことにしました。
結果は、私が思ったよりもずっと、反応がありました。
いつもは少しザワザワしたり、なんとなくモゾモゾとしている子がいたり、途中で飽きてしまう子がいたりするのですが、教室が水を打ったようにシーンとし、全員が食い入るように本を見つめていました。
いつもは、皆の反応を気にするあまり、私の読み聞かせを歓迎しない娘が、帰ってくるなり、「誰一人として聞いてない子はいなかったよ! また読み聞かせに来て。」と言い出す程でした。
戦争も含めて、人々の荒廃した気持ちは、静かな平和を願う弱者を完膚なきままに痛めつけます。
その悲しみや痛みを淡々と描きながら、最後には救いがあり、読み終わった後に決して暗い気持ちに陥らせないトミー・ウンゲラーの筆力には凄いものがあります。
楽しくて面白い本だけでなく、このように読み応えのある本も、是非子どもに紹介していきたいものです。