しにがみに窮地を救ってもらったのに、散財をしてまたまたこまってしまう主人公。そんな男を見放さずに助けてあげようとするしにがみさんは、とても死神とは思えません。死神の姿を借りた神様とも思えます。
それなのに、再度のチャンスをふいにしてしまう男。子供達は笑っていましたが、私は笑うに笑えませんでした。あなた達にこの悲哀がわかるのは、いつのことかしら?理解できるということは、それだけ長く生きて、経験を積んだ証拠よと、思ってしまいました。
それにしても、日本語の奥の深さを感じました。落語という形式で、登場人物どうしの会話で話がすすんでいるところが多いとはいえ、主人公を特定する言葉、主語とする文が出てこないのです。冒頭に「えどのまちの わかいふうふが、あかんぼうを さずかった」とあるだけです。私はこの感想を書くのに困ってしまいました。