台湾の絵本。
何と言っても、チャン・ヨウランが描いた精緻な絵が秀逸です。
誰しもが、絵に惹き込まれてしまうこと間違いなしと言える出来栄えだと思います。
それもそのはず、何と、チャン・ヨウランは、この絵本を作るために、他の仕事を断って2年余り全身全霊を傾けたとのこと。
その想いが伝わってくる力作です。
お話は、ジャンルとしては幻想的なファンタジーといったところ。
主人公のアティはお父さんと、おばあちゃんの故郷のアリシャンにやって来るところから始まります。
そこで、おばあちゃんの語った「とくべつなともだち」と出会い、桜の精を救うために立ち上がるのです。
目的は、銀色の真珠を探し出すこと。
「とくべつなともだち」との冒険が始まります。
フィールド調査・考証により、台湾のツォウ族の森とともに生きる考えや暮らしを描いたとの記載のとおり、絵を見るだけで沢山のことを味わうことが出来ると思います。
絵本に収まりきらないスケールなので、それを文章で表現するのは困難な作業だったはずで、やはり、絵が文章を凌駕してしまっている感が免れませんでした。
絵本だけで留めるには勿体ないくらいで、小説とか、映画とかで読んだり見たりしてみたい作品だと思いました。