『El hilo de Ariadna』が原題。
スペインの作家による作品ですが、モチーフはギリシャ神話です。
アリアドネの知恵で、迷宮から糸球を使って脱出するのですが、
転じて難問を解く鍵という意味でも使われるようですね。
私もアリアドネ、という名前を見たときに真っ先に思い浮かべたのが、
R・シュトラウスの楽劇『ナクソス島のアリアドネ』。
まさしくそのとおりでした。
もちろん、この作品はそのことを踏まえたうえでの創作です。
少女アリアドネはどうやらお父さんとけんかした模様で、家を飛び出したのです。
ふと、上着のポケットに入れた糸球を蹴ると、糸球がほどけて、
その糸をたどっての幻想です。
シンプルな絵が、独特の空気感です。
ラストは、なるほど、と着地します。
大人にとっても、お父さんのセリフが、妙に心に響きます。
シンプルなストーリですが、真の味わいは、やはり小学生以上くらいではないと難しいでしょうか。