「クラシンスキ広場のねこ」をはじめカレン・ヘスさんの作品は、歴史上の設定を用いた作品が多いようです。
この作品も扉絵の荒涼とした土地の様子から、世界恐慌並の経済的打撃を世間が受けている時代を想起させられます。
夜勤の母親の留守中月夜の中、隣の家の収穫が終わったじゃがいも畑から、収穫されず捨て置かれているこぼれじゃがいもを無断で獲りに行こうとする三姉弟。
貧困がもたらす悲しくもいじらしい罪です。
切ないのは、自分たちの行為がいけないことであることを知りながら車のヘッドライトにびくつきいも拾いをする様子。
隣家にも誰にも気付かれず持ち帰ったものは、・・・。
そして、帰宅した母親の言葉。
貧しくとも人間としてのプライドを持ち子どもたちを諭します。
ここで、私がこの子らの母親ならどうするだろう?
私が子どもで、このような状況だったならば、・・・?
等々、考えさせられました。
ラストは、カレン・ヘスさんらしい展開に胸がすきます。
隣家がケニーさんのような方ばかりならば救われますが、現実は?とまた考えさせられてしまいます。
これからの世の中、子どもたちがこのような悲しい罪を犯さぬような社会を大人たちは保障してやらねばならないと思いました。
今、この瞬間にも自分の身の丈より長い銃を抱え、戦場に立っている子どもがいることも忘れてはならないと改めて思いました。