小さくて四角い、かわいいペツェッティーノの、自分探しのお話です。
あんまり小さくて、自分自身を誰かの部分品としか思えなかったペツェッティーノ。
でも、こなごなじまで、自分がばらばらになったことで気づいたのです。
「じぶんも みんなとおなじように ぶぶんひんがあつまって できている」と。
自分が、誰かの部品ではなく、かけがえのない「ひとり」なんだということ。
5歳の娘には、そのお話の深さは伝わったのかわかりません。
最初に「ぶぶんひん」の意味だけは説明して読んであげたのですが、
ペツェッティーノが粉々になったのに喜んでいるのも「???」な顔でした。
このストーリーが心に響くようになるのは、思春期・青春時代真っただ中の中学生や高校生くらいなのかもしれません。
でも、きっと中高生はなかなかこの絵本に出会えないだろうな…と、もったいないような気持ちになりました。
それでも、小さな子どもでも、絵を純粋に楽しめるほど、
この絵本の「絵」は魅力的です。
マーブリングで波や岩を表現した部分は
「これってほんとに石がごろごろしてるみたい」と感心し、
四角いブロックのような「ぶぶんひん」でできている、
「はしるやつ」「つよいやつ」「およぐやつ」「かしこいやつ」・・・
抽象的なんだけれどそれらしい形や色で、
登場するたびにおもしろがっていました。
私自身も、お話を頭に入れてから
じっくりとページをめくり絵を眺めるのが楽しかったです。
どうやったらこんなふうに、描けるんだろう・・・と興味津々です。
レオ・レオニ展に行ってみたくなりました。
親子それぞれに楽しめる絵本だと思います。
「ほんもの」の芸術作品を、お子さんに見せてあげたい方に
レオ・レオニさんの絵本はおすすめです。