ルピナスさんは、海をみおろす丘の上にある小さな家に住んでいます。家の周りには、色とりどりの花が咲き乱れています。
子どもの頃、おじいさんと約束をしたからです。
「大きくなったら、私も遠い国に行く。そしておばあさんになったら、海のそばの町に住むことにするわ。」
そういうアリス(これはルピナスさんが小さい女の子だった時に呼ばれていた名前です)におじいさんは言います。
「もう一つ、しなければならないことがあるぞ。」
「世の中をもっと美しくするために、何かをしてもらいたいのだよ。」と。
アリス、は大人の女性になって図書館で仕事をし、遠の国にたくさんの冒険をしに行きます。怪我をして、海の近くの家に住むことにします。ベットの中で、おじいさんとの約束である「世の中をもっと美しくするためにどうしたらいいか」ミス・ランティアス(アリスは大人になってからはこう呼ばれるようになりました。)は考えました。
厳しい冬が過ぎて、春が訪れたとき、ミス・ランティアスの思いついたことは、夏中たくさんのルピナスの種を村中のあちこちに撒くことでした。次の年の春、村中がルピナスの花であふれました。こうして、おばあさんになった彼女は、今では『ルピナスさん』と呼ばれています。
独立心のあふれた女性の生涯を美しい色彩で描いた作品です。決して、特別すごいことをした人ではありませんが、優しい心を持ち続けて生きるということの大切を教えてくれる気がしました。
6歳からとなっていますが、中学生位の大きな子から大人まで、幅広い年齢層に受け入れられる絵本だと思います。