モンゴルの作品ということで、興味深々で読みましたが、後書きを見て驚きました。
ご夫婦での作品なのですが、活動拠点は日本で、現在埼玉在住。
お二人とも、モンゴル文化芸術大学美術学部卒業で、文教大学の留学生として来日しているとのこと。
するとこの作品は、日本の作品ということになるのでしょうかね?
物語は、夜になり、バートルのおじいちゃんの家に、子供達がお話を聞きにやってくるシーンで始まります。
家は、もちろんゲル。
今夜の話は、こころの花の朝露の話。
昔々、おかあさんとむすこがいて、おかあさんに恩返しのため、むすこは、毎朝、朝露を集めておかあさんに飲ませたところ、おかあさんは元気に長生きしたというもの。
そこで、バートルは、早速、その夜、こころのはなのある場所に向かいます。
マンガスとかショルマスといったモンゴルの化け物を、上手く登場させて、バートルの果敢な行動を際立たせることに成功しています。
何とか逃げ切ったら、朝が明け、こころのはなのある場所が遠くに見えているというのも、絶妙な展開です。
そのことを話すと、おかあさんが抱きしめるのですが、こんなに嬉しいことはないでしょう。
息子の優しい心に、誰しも心打たれるに違いありません。
モンゴルの雄大が草原を舞台に、家族を思う気持ちを描いた、どこか日本にも合い通じるものがあると思える作品でした。
お二人が描く、日本を題材とした作品も読んでみたいものです。