朝が来る、というのは当たり前のことだと思っていました。当たり前、は、取るに足らないどうでもいいことと。
でもそれは違うのですね。当たり前に朝がきて、当たり前に町があって人がいて・・・それら一切はかけがえのない奇跡なのだと気付かされました。震災で多くを失った今だからこそ、当たり前だと思っていたことのすべては、かけがえのない大切なものだったのだと気付かされた。そして、「いつもどおり」ということがどれほど幸せなことかということも。幸せとはお金でも名誉でもなく、「いつもどおり」がちゃんとあること。いつもどおりというしあわせ。
タイトルでもある「あさになったのでまどをあけますよ」が繰り返されますが、これもいいです。朝になったら窓を開ける、というのは基本動作なんだなと(自分なぞ朝昼関係なく窓閉めっぱなしで・・・)。日本人的な自然観が感じられていいです。朝日を浴びたようなあかるい画面は印象派の絵画のようで美しい。飾らないやさしい言葉のひとつひとつも好きになれます。
これはできれば借りて読むではなく、買って手元に置いておきたい本です。なんとはなしに手に取ってぱらっとめくっては癒される・・・そんな一冊になりそうです。絵で、言葉で、癒され、元気づけられる絵本です。