この作品は今までの柏葉さんの作品とは、一味違います!
この本を読んで初めて、
今までの柏葉さんの作品は(デビュー作のシリーズ《霧のむこうの…》以外)どちらかというと小さなお子さんでも一人読みできるように意識して書かれていたんじゃないかと、感じました。
読者にこびているわけではないのですが、こういう風に書けば分かるかな?こんな言葉でいいかな?って、考えて言葉を選ばれていたのではないでしょうか?
というのは、この作品は、あえて読者をあまり意識して書かれていない印象を受けたんです。
他動的というよりすごく自動的で、主人公のカズが勝手に動いてしまうことを柏葉さんが文字にしている。みたいな印象が強かったです。
(勝手にそう思っているだけで、ご本人に確認したわけではないので、その辺ご了承ください)
この「帰命寺横丁」はとっても斬新な作りになっています。
物語の中にもう一つの物語が語られています。
そこに描かれている物語はちゃんとカズたちに関わりがあるのですが、1つの物語としてもしっかり独立しています。
本の作りは、字も読みやすい大きさで紙質も手触りがよく、挿絵も結構多くちょこちょこと描かれているので、(本好きなら)小学校の4年生くらいからお薦めできるお話だと思います。
主人公カズと突然、カズの家の窓から「あかり」が出てきた時のシチュエーションは、とてもインパクトがあります。
挿絵を描かれていた佐竹美穂さんとのコラボは「モティ」のシリーズの時も見ていました。
あのお話とは世界観も違うせいもありますが、全く違う印象で、特に表紙絵(帰命寺横丁だろうと思います)と、裏表紙の王子(ですよね?)の後ろ姿はよかった〜!!
この本には作者後書きなどありませんが、もしも機会があれば、いつか柏葉さんにこの作品を書いた時の裏話を聴きたいなぁ〜と思いました。
面白くて。読み出したら夢中になってしまいます。
柏葉さんの作品は甲乙つけがたく好きなものが多いのですが、この作品は今まで読んだ中で断トツで好きになりました!!