正方形の大判の表紙に描かれた、老婆と赤ちゃんの手!
妙に惹きつけられ、借りてきた絵本です。
ハルはうみべのちいさなむらにうまれた。
で始まる静かな文章と、正確に描かれた、愛らしい赤ちゃんの姿。
周りの大人たちの予想通り、ハルは器用な手つきで、健やかに成長していった。
でも、15の頃、戦争で両親を亡くし、祖母と幼い妹や弟を養うようになった。
あやとりで遊ぶ手
花かごを編む手
涙を覆う手
わらぞうりを編む足
盆踊りを踊る手
ケーキ屋を営む手
見詰め合う老夫婦の顔
苦労しながらも、静かで幸せなハルの生涯を、手の動きを中心に誠実な描写が伝える、素晴らしい絵本です。
秋の夜長に、たまには、こんなしみじみとした絵本を、家族で囲み、余韻を楽しんでみてはいかがでしょうか?