読むのに、何度も躊躇しました。
だって表紙のエルフは穏やかに微笑んで、りっぱな両足で立っているのですから、辛い内容である事が想像できましたので。
小さな子供たちを助けるため、猛獣と立ち向かい、片足を失うエルフ。
その残った足の上で、運命を嘆くこともなく、静かに時を過ごすその
姿は胸を締め付けられます。
でも、子供たちを命を守る事こそが、エルフの生きる証しだったに違いありません。
エルフの涙でできたかもしれないという池。
それはどんな涙だったのでしょう。
存在を忘れられたときの悲しみの涙?こどもたちを救えた喜びの涙?
なんと素晴らしい版画でしょう。
迫力ある場面も、辛い表情も優しいもこんなにも表すことが事ができるなんて…
でも、一番感銘したのは最後の場面、草原を吹き渡るやさしい風をここにいながら感じることができました。
今日も新たなエルフがアフリカのどこかでこどもたちを守っているかも
しれませんね。