まず表紙がいいです。満開の桜のピンク色が鮮やかで、花を咲かせているおじいさんの表情もいい。
お話は、ちょっとせつなくなるような内容です。
シロが小さい頃からまるで我が子のように可愛がってくれたおじいさん、おばあさんに恩返しをしようと、大判小判のありかを教えます。
その時のシロのしっぽを振って嬉しそうな顔!
それを隣のじいさんとばあさんが無理にシロを連れだし、同じことをさせますが、出てきたものは蛇やムカデや蛙・・・シロは無残にも殺されてしまいます。
でも、シロのおじいさん、おばあさんを思う気持ちは、たとえ臼になっても灰になっても消えることはなく、おじいさんおばあさんに幸せをもたらします。
そのシロの魂が、最後に美しい桜となってあらわれているようでした。
松成さんの描く挿絵は、とにかく風景が美しい。そして人物や犬の表情も穏やかで、読みながら安心感があります。
それはおまけの「みるなのくら」も同じで、たった3ページのお話なのに、最後の月夜の美しいこと。出来たら12の蔵も1ページずつ見たかったな・・と思いました。