主人公の克久は、小学校ではいじめにあっていたため、中学生になっ
た時に「学校にいる時間はできるだけ短いほうがいい」という方針で、
自分を傷つけようとしていていると察知すると、心を灰色に塗り固めるのが上手な少年です。
そんな彼が吹奏楽部に入部して、成長していきます。
娘も中学から吹奏楽部に入っていました。中学では同じ小学校からの子が他に居らず、クラスでは孤立していました。
でも吹奏楽部があったから救われていました。
楽器が上達していくと自信を持てるようになり、クラスでも友だちができました。
初めて娘の演奏を聴いたときの感動は忘れません。素晴らしい親孝行をしてもらいました。
この本は10年以上前に書かれているので、まだケータイも珍しくましてスマホはありません。この時代はよかったと思いました。
ケータイを持つ事でますます子どもたちの関係が複雑で、親の目が届かなくなってしまっています。
思春期の子どもの悩みを親が理解するのが、ますます難しくなっていると感じました。
吹奏楽のコンクールでは実際の課題曲が出てくるので、読みながら頭に曲が流れてきました。
克久や周りの部員たちの成長の過程と、演奏の完成が重なっていて感動しました。
それから、題名にあるうさぎの存在も克久の心情が表していますよ。
中学生以上からお勧めです。演奏される曲を聴いておくといいと思います。