表紙の絵に惹かれて手にしました。
ピアノの優しい音色が似合いそうな
ちょっと切ないお話でした。
一人ぼっちのオオカミくんにピアノ演奏依頼の手紙が届き、
手紙の送り主に会うためピアノを引いてはるばる出かけて行きます。
そして手紙の送り主達にピアノを聴いてもらって、
オオカミくんは帰ります。オオカミくんはまた一人ぼっちですが
演奏会の思い出がオオカミくんの心の支えになっています。
そこへまた演奏以来の手紙が届きます。
オオカミくんはピアノを持ってどんなに遠くにでも
演奏を聴いてもらいに出張し、帰ると一人ぼっち。
演奏会の思い出を胸に毎日を過ごしています。
そんなオオカミくんは幸せなんだろうかと考えさせられちゃいました。
行く先々でグランドピアノの蓋を開けて演奏するオオカミくんは幸せそう。
鋭いツメを持っているけれど、サラサラの髪と長いまつ毛や手足、
繊細な雰囲気のオオカミくんは何の見返りも期待せず
大きなピアノを遠くまでひぱって行き、手紙の主の元で演奏します。
戻ればまた一人ぼっち。なんだか切ないです。
でも、幸せな時間の思い出があるから、
この先にも自分が必要とされる楽しい時間が
きっと待っていると信じているから、一人ぼっちも頑張れる。
そんな強いオオカミくんも感じられます。
息子は最後にオオカミくんに届いた手紙に星がついているのを見て、
「オオカミくんは天国に行くの?」と訊いてきました。
オオカミくんが次の演奏をどこでしたのかは読む人によって
感じ方が違うかもしれません。
ウチの子にはハッピーエンドとはいえない終わり方だと
感じたようですが、繰り返し読まされる絵本です。
大人が読むと色々考えさせられますが、
子どもが読んでも伝わる何かがあるようです。