童話の世界ではいつでも悪者のオオカミ。
その「オオカミ」と「ピアニスト」という
一見ミスマッチな組み合わせのタイトルと、
繊細ながらしっかりとしたトーンの表紙絵に惹かれて手に取りました。
「オオカミ」だからひとりぽっちなのでしょうか。
けれどもオオカミくんのもとにはピアノを聞かせてほしいと
手紙が届きます。
出かけて行くたびに、
少しずつオオカミくんに変化が見られます。
感情表現が豊かになってきたオオカミくんが
羊たちと喜びを分かち合っていたまさにその瞬間、
厳しい現実を突き付けられます。
オオカミくんは一人ぽっちです。
オオカミくんはかわいそうでしょうか。
いいえ、また手紙が届いて
オオカミくんは出かけていくことにしたのですから。
言葉は淡々と静かですが、
きれいで構図豊かな絵がオオカミくんの気持ちを代弁してくれます。
子どもがどの部分に着目するか分かれそうですが、
新たに出かけていくオオカミくんに希望の気持ちをこめて、
小学校の図書ボランティアで読み聞かせました。