春を迎える季節にぴったりのくまさん絵本です。冬眠から目覚めないくまを動物たちが起こそうとする設定はよくありますが、この絵本が特別なのはくまさんが目を覚ました理由にあります。この最後のページには「おお〜」とちょっぴり感動。くまさんらしい、かわいらしい理由でした。
なかなか起きてこないくまさんとのやりとりは、韻を意識したリズムのある日本語により語られます。このテンポがのんびりした春の1日にぴったりで、作品全体の穏やかなトーンを生み出しているのでしょう。
出てくる動物たちにライオンやぞう、かば……とジャングルの動物がいて、くまさんは森に住んでいるのにどうして? でも、そこはユーモアで勝負。子どもが大喜びする演出がなされているのでした。
「けれども まだまだ くまくんは いびきを かいて ねているよ」……さて、どうやって目覚めるのか、最後がお楽しみです。