図書館で、題名を見て思わず手に取りました。「シュクラーン」は、アラビア語で「ありがとう」の意味で、アラブ圏に住んだことのある私には、とても懐かしい言葉だったからです。
イスラエルの移民事情に関してはあまりよく知らなかったのですが、イスラエルも旅したことがあり、そしてアラブ圏に住んでいたことのある私には、この話の中のハミッドとガブリエルの関係が大変稀有なことであるのを実感として知っていたので、創作であっても、これが現実であったならどんなにすばらしいのだろうと思ってやみませんでした。
私の個人的な感想では、この本の中で一番大事なことは、テロリストの家族がテロリストとは限らないということだと思います。この話の中のハミッドやハミッドの父が言うように、テロがどれだけ間違ったことなのか、どれだけ罪もない人々の命を奪うものなのかと心を痛めている、そして怒りを覚えているのか、そこを正しく見つめないといけないと思いました。
ハミッドのような子たちが夢をかなえられるような世の中になって欲しいと願ってやみません。