ついつい口から出てしまう口癖。おじいちゃんの場合は、お風呂タイムの時の「ごくらく ごくらく」という言葉でした。大好きな人(孫)と、大好きなお風呂に入って、天国にいるような至福の時に,思わず出てしまうその言葉。
でも、ある日、そのおじいちゃんが、入院することになり、とても楽しみにしていた温泉旅行に行けなくなってしまうのです。
私の一番大好きな場面が、ここなのですが、代わりに自宅のお風呂に、ゆうたと、ゆうたのお父さんとで抱えて入れてあげて、有名な温泉の湯の粉を入れて、男ばかりの親子三代で温泉気分を味わうのです。勿論、おじいちゃんの口からは、「ごくらく ごくらく」の言葉が飛び出します。
私も、同じような立場になった時に、自分の母親と、私の娘と、狭くても自分の家のお風呂でこんなひと時を過ごせたら素敵だなと、しみじみと思いました。
裸で入るお風呂は、最大のスキンシップでもあります。そんなスキンシップをたくさんしてもらえて、ゆうたは、本当に幸せだったと思います。
この絵本は、ちょっと悲しい結末ではありますが、決してそれだけではなく、家族のおじいちゃんへの愛情、そして、おじいちゃんのそんな家族に対する感謝の姿が、「ごくらく ごくらく」という言葉を通して見えてきて、思わず心が温かくなるのです。