子どもの気持ちを描いた絵本です。絵も、子どもの気持ち、そのままの自由で伸びやかな絵です。
幼稚園や小学生の子ども、特に男の子を観察していると、友達と張り合う気持ちがすごく強いのです。「オレなー」「オレはなぁー」「オレの父ちゃんなんてなー」「オレんちだってなー」という具合。「自分はすごいのだ」という自尊心。「すごいと思いたい、思ってもらいたい」という気持ち。単に自慢のしあいっこというよりも、一生懸命に自分というものを確立しようとしていることが感じられて、微笑ましく思います。この絵本のヒョウとライオンにも同じものを感じました。
どんどんと想像の世界に入っていって、そこでも思う存分、言いたいことをいって、想像だから、もうなんでも言いたい放題!あー、楽しいね!「自分はすごいのだ!」という気持ちを出し切った後は、ヒョウもライオンも、満足してすっきりとした良い顔をしています。どんなに言っても言い返してくる相手のことも、「なかなかやるなー」と認めた感じかな。えっ?でも、まだ言ってますね。「ひげが・・」って。(笑) でも、子どもはこうやって、張り合って、切磋琢磨して大きくなっていくのでしょう。
「大人になってもこのまま」というのは、ちょっと見苦しいです。とはいえ、現実の厳しさにやられてしまって「自分なんか・・・」としょげている大人の人には、この絵本を差し出してあげたい。そして、私も、元気のでない時にはこの絵本を開いて、自分のいいところ探しをしてみようかな。