『OSKAR TIGER』が原題。
那須田淳さんの訳が軽快です。
ねずみのオスカーは、暗く冷たい土の中の生活にうんざりしていたのです。
ママの忠告も聞かず、外へ飛び出したオスカーは、天敵に襲われ続け、
ちっぽけなねずみであることを痛感するのですね。
助けてくれたはりねずみの助言で向かったのは、根っこの魔法使いブルツル様のところ。
そこでようやく願いがかない、トラになったオスカーですが、
意外な事に気づいて、元通りになることを望むのです。
自分の良さを再発見、といったところでしょうか。
グラフィックデザイナー・イラストレーターによる絵は、
なかなかスタイリッシュです。
なかでも、根っこの魔法使いブルツル様の造形が圧巻です。
一見生首なのですが、なるほど、根っこならこうなりますよね。
「ブルツル、ブルツル、ブルツルル」という呪文も、ちょっとエキゾチックです。
オスカーは元通りの姿になりますが、ブルツル様の計らいで、一つだけお土産をもらいます。
それは、少しコケティッシュですが、ある意味「自己肯定感」ではないかな、
と思いました。
少し哲学的なので、小学生以上くらいからでしょうか。