1450年代以降、ヨーロッパで開発・普及していった印刷技術の工程を1つ1つ描いた絵本。
活版印刷を開発したとされるグーテンベルクのことも記載。
原書:2012年、日本語版:2013年刊行。
それまでは手書きで写す方法で本を出版していた。
金属のハンコのような「活字」を使って印刷する技術は、ちょっと版画の印刷のようにも見えた。
今では、本は大量に安価に供給されているから、あまりありがたみを感じる機会は少ないが、実は大変に貴重なものだった。
この本を見ると、昔は一つ一つ丁寧に、人間が手作業で作っていたことがわかる。
職人が作業する風景を描き、実況中継のような文章が少しあり、読者はそれぞれの様子を自分の頭の中で組み合わせて、本のできる工程を想像する。
読者も一緒に本を作っているような気分になる。
最後に、翻訳者の感想があるが、ここでは日本の、昭和〜平成にかけての印刷技術の変化を経験した人の、貴重な体験が紹介されていて、興味深い。
技術が開発されると、人の生活が変わり、社会が変わり、時代の流れも変わる。身近なことだが、実はすごいことだと改めてわかった。
本が好きな人には、年齢を問わず、オススメしたい絵本。