久々に、わたし的に大ヒットの絵本に出会いました。主人公は1匹のねずみくん。きれいな、真っ赤なりんごを見つけ、こっそり土の中に埋めてしまいます。りすやことりやかめなど、ほかの動物たちが何を隠したのか尋ねても、「ぼくだけの ひ・み・つ」と教えようとしません。でも、そうしている間にね、ねずみくんの背後ですてきなことが起こっているのです。
見開き左ページ下に文章、右ページにイラストという構成が、ささやかなドラマを効果的に盛り上げます。真っ白な空間に、りんごの赤、動物たちの体の色が映え、作者が「色彩の魔術師」と呼ばれるゆえんがよくわかりました。見返しのりんご模様、「ひ・み・つ」の「・」の部分がりんごマークになっていたり、「ひ・み・つ」の文字色が動物の色とお揃いだったり、お洒落でかわいらしい演出も心にくかったです。
とっても幸せでキュートなお話です。りんごの季節にぜひ読みたい1冊。表紙の赤、リボンのようなタイトル文字を見ていると、りんごの焼き菓子といっしょに誰かに贈りたくなってきます。