本好きな人にはいつも机にかじりついて本ばかり読んでいる、不健康なイメージがどうもあるようです。
かけっこをさせたらいつもビリ、鉄棒なんて大嫌い。野球をしても三振ばかりで、もう嫌だ。
やっぱり本を読んでいる方がいい。
実際にはそんなことはないと思うのですが、どうでしょう。
ダニエル・カークの人気シリーズ「としょかんねずみ」の3冊めとなるこの絵本を読むと、やはり本好きな人(この絵本ではねずみですが)は、やはり運動が苦手なんだろうかと、苦笑が浮かびます。
今までの作品で、図書館に住んでいるねずみのサムが素晴らしい文才を発揮して人間たちを驚かせてきましたが、この作品ではサムの怖がりの一面が描かれています。
ある晩、いつものように誰もいない図書館でサムは大好きな冒険の本に夢中になっていました。気分はさしずめ冒険家。
そこになんと図書館の大きな書棚のてっぺんから一匹のねずみが舞い降りてきました。
まさか自分以外に図書館にねずみが住んでいるなんて。
しかも、ピンクのスカートをはいた女の子ねずみです。
名前はサラ。
女の子といっても、サラはサムよりうんと活発です。自分のことを探検家というぐらいですから。
サムとサラは友だちになりますが、どうも雲行きが怪しい。
サラはいろいろなところを見て回ろうとします。
でも、サムはすべては本に書かれていると反論します。
そしてとうとうサラはサムにこういうのです。
「サム、あなた、こわいんじゃないの?」。
さすがに女の子にそこまでいわれて、サムもあとにはひけなくなります。
図書館の高い書棚のてっぺんまで登ることになります。
でも、その時のサムの顔ったら。なんとも情けない。
気の弱い男の子に気の強い女の子が、「しっかりしなさいよ」と背中をどんと叩かれているような感じです。
図書館の隅々までなんとかサラと一緒に探検をして疲れてベッドに戻ったサムはこうつぶやきます。
「ほんを よんだり かいたりするのも、たんけんするのと おなじことさ」。
本当にそうなのでしょうか。
サムには誤解があるようです。
本はたくさんのことを教えてくれますが、本当の世界はもっと、うんと広いのです。
サラはそのことをサムに教えてくれているのです。
これから二匹の仲はどうなっていくのでしょうか。