言わずと知れたグリム童話の名作。これまでにも、いろんな作者の文(訳)や絵で読みました。娘には今更?という感じがしないでもなかったのですが、絵本を卒業してしまう前に、どうしてもホフマンの絵で改めて読ませてあげたかった・・・私の思い入れのある1冊でした。
絵画でも音楽でもそうですが、「本物」に出会えたときの感動は、足元からぞくぞくっと震えるような、言葉を超えたものがあり、絵本でもそれは同じですね。子どもには、できるだけ「本物」に触れさせてあげたいという常日頃からの願いを、この絵本が叶えてくれました。
このお話がこんなにおもしろかったかと思うくらい、古典ながら新鮮さに満ちていて、本当に初めて読むお話として楽しめました。
はじまりもとても素敵です。
「むかし あるところに、こやぎを 七ひき そだてている おかあさんやぎが いました。
そのやぎが こやぎたちを かわいがることといったら、どのおかあさんにも まけないくらいでした。」
特にお母さんやぎの表情が豊かで、自分自身を母やぎに重ねて感情移入してしまうほどです。おおかみに大事なこやぎたちを食べられて、おいおいと泣きながら立ち尽くすお母さん、そして、末っ子やぎを抱きしめ、ぽろぽろと嬉し涙を流すお母さんの姿が、強く心に残ります。
そして、娘も私も大好きなのが、最後のページ。七ひきのこやぎたちを並んで寝かせ、ベッドの脇から見つめるお母さんやぎのやさしい睫毛・・・窓の外には大きなまん丸お月様が輝いています。