「おやすみ」をいうまえに、ちょっとそこまで散歩にいこう。
小さな娘をつれて父親は散歩に出かけます。
入江の見えるところまで行って、月がのぼっているのに気づき、同じ道をひきかえします。
同じ道でも、行きと帰りでは違う風景。
郵便配達が歩いていた行き道。
帰り道では明かりのついた家の中で手紙を読んでる人が見えます。
そして父娘をやさしく母親が迎え入れるところで散歩は終わります。
すっかりと日は暮れて気づけば「おやすみ」をいう時間になっていたのです。
日常の光景が描かれているのこの絵本が、なぜこれほど美しいと感じるのか。
この作者が繰り返されるこの日常を愛しているのだと感じられます。
行きには親しみやすく感じた樫の木が帰りにはなんとなく別な木に見える。
行きと帰りでは違った色、におい、音、温度も。
山本象さんが渡米中に書店でみて気に入って出版社に持ち込んだそうです。
絵もさることながら、訳の文章も、フォントも美しい。
図書館で借りて気に入り購入しました。我が家では興奮した夜によく読んでます(笑)こどもが大好きな本、というわけではありませんが、こういう美しい本も読み聞かせに取り入れたらいいなと思います。