図書館には毎週行きます。
昭和30年代とか40年代は今のように図書館もきれいで明るいところではありませんでした。住んでいた地域にもよりますが、あまり多くもなかったと思います。
今は公共図書館も充実しています。私の家からは歩いていける距離に二か所、電車で一駅のところに一か所ととても便利です。そもそもそういうところをねらったのですが。
閉館の時間も遅いところでは夜の9時までというところもあって、会社帰りに立ち寄ることもできます。
でも、さすがにコンビニのように深夜まで開いている図書館はないのでは。
ところが、あったのです。「よるのとしょかん」が。
この図書館の開館時間は「まよなかからよあけまで」なんですから、すごい。
そこで働いているのは、カリーナというおさげがとってもかわいらしい女の子と三羽のふくろうたち。
どんな人が利用するのかだって?
たくさんの動物たちです。
ここでのルールも私たちがよく知っている図書館と同じ。
大きな音で楽器の演奏なんてできません。
演奏前の曲探しに図書館にやってきたリスたちが案内されたのはプレイルーム。ここならどんな大きな音をたてても大丈夫。いいですね、こういう部屋があって。
悲しいお話に大粒の涙を流しているおおかみは、よみきかせコーナーでじっくりと大きな耳を傾けます。
もちろん、「よるのとしょかん」では貸出もしています。
のろまのかめさんも、このサービスにご満悦。
朝になる前にカリーナたちは屋根裏でいってしまいます。
残念ですが、そういうわけで私たちはカリーナたちに会うことはありません。
もしかすると、「よるのとしょかん」をのぞくことはできるのでしょうか。
それも残念ながら、できないのです。
だって、「よるのとしょかん」が開いている時間は、私たちは夢を見ているから。
作者のカズノ・コハラさんの絵はリノリウム版画で描かれているそうです。
あったかくて、かわいくて、「よるのとしょかん」こそ夢の世界の図書館かもしれません。