ヨーロッパの片田舎風の絵が素敵な絵本です。
森が恐ろしくてたまらなかったネズミ君が、思い切って森まで出かけ、帰ってくるまでのお話です。
文章が簡潔で読みやすいですし、絵も精巧で美しいので、無理なく読み進めることができます。
そして、さらっと読んでしまうと、なんてことのないお話です。
実際、我が家の子どもたちは、「そうですか、よかったね」という程度の反応でした。
ただ、10代半ば以上の子どもや、大人が読むといろいろ考えることの多い絵本です。
自分の恐怖の対象と向かい合う勇気、そしてそれを克服することによって生まれる達成感や自信を感じることができる本だと思います。
訳者の言葉にも、現代の子どもに対する大人の態度を見つめなおすきっかけになるというような意味のことが書いてあります。
一見、小さい子どもの向けのように思えますが、実は大人のための本かもしれません。