家庭相談員歴約10年。子供が他県の大学に進学した頃、私は福祉系の大学で学ぶことを決めた。40代半ばであった。卒業し、社会福祉士の国家資格を取得。某市の非正規の相談員として採用された。
そこで出会ったお母さんや子供達は私が子育てしていた頃とはあまりに違っていた。地域とは疎遠。日常のストレスや辛さ、子育ての不安などを外に発信できず苦しんでいた。他者(こどもさえ)を鷹揚に受け入れるゆとりを失いかけていた。私はひたすら聞き、受容し、共感し続けた。説教など相談者の心を閉ざすだけ。
そんな中、一つのツールとして役立ったものが絵本だった。昔、子育てしていた頃、生活費を節約して買った大切な大切な思い出の本たち。数十年を経て再デビュー。
お母さんを責めたり、示唆的に活用するのではなく、話がとぎれた時やそばで不安気に母をのぞきこむ子供jのためにもただただ、共に楽しんだ。
「おかあさんだいすきだよ」
この言葉は理論的に表現できない子供の心を端的に表している。特に好きなのは「ぼくね、もっとおかあさんのことだいすきだよ。」
とてもせつない。
相談を通して私は、親が子供のことを思う気持ちより子供が親を思う気持ちの方が何倍も何十倍も深いことを知った。この本の全てのページにそのメッセージがちりばめられている。
子育ての最中の母親はまるで今のいらだちが永久に続くかのように感じる。でも、でも子供と過ごす時間はあっという間に過ぎ去るのです。そしてその時間は人生の中で一番愛しい時間のはず。
だから、こどもがもっとお母さんをすきになる様、ゆっくり、のんびり子どもの成長を待ってみませんか。