家内には一目ぼれだった。正月に見合いをし4月に結婚式、その後山あり谷ありの人生で、子育てもほぼ一巡。最近はぬれ落ち葉と言われ始めている。
洗濯も取り込みもアイロンかけも靴磨きも家の掃除も鉢への水遣りも、朝起きてカーテンを引くのも新聞をテーブルの上に置くのも、コーヒー用のお湯を沸かすのも私の仕事。「あれをするな、これがこうなっていた、ああだこうだ。」と叱られ、すり寄ると邪険にされる。高齢者も、優しくぎゅーと抱っこしてもらいたい・・・家内のスカートに紐を2本付けて成長した子どもとともに1本ずつもって歩きたい心境だ。
私が仕事仕事で残業ばかり、週末以外殆ど外食生活だった頃、家内は子どもへの読み聞かせを始めた。
ぱっくんおおかみ、がらがらどんのトロールの話とか、イーヨーの川流れとか、番ネズミのヤカちゃんを聞かせていたと思う。子どもに手がかからなくなると読み聞かせのボランティアで小学校や幼稚園などを回っていた。今も続けている、元中学校教員だったので人前でしゃべることが性に合っているようだ。
この歳になって思うことがある。
絵本を読んで物語の世界へ旅をする。大人も子どもも願いは同じ、しっかり冒険して安心安全な母の元へ戻り着くこと。ぎゅっと抱っこして親子で成長して行くことに異存はない。
児童書の書評を読めば世の中平和な感じ。一方、叱られる抱っこされることを知らずに成長する者もいる。絵本を読んで聞かせて育てる楽しみを知らない、知る余裕のないご家庭もあるはず。加えて、4人に一人が高齢者の時代。
人生玉手箱、世界の皆がハグされあうような世代を超えた優しい絵本読み聞かせの響きあい文化を期待したい。お父さんやお爺さんもおかあさん(家内)から肯定的に「大好き・・・」と言ってもらえればもっと頑張れるんだよ、屹度。この本に出合って絵本の奥深さを再認識した。