100万回生きたねこは、ある時は王さまの飼い猫だったり、
またある時は船乗りや手品つかいの猫だったりしました。
どの飼い主にも大いに愛されましたが、猫は飼い主に好意を抱くどころか、
嫌悪感を感じるばかりでした…。
ねこは、自分以外の何者をも愛することはありませんでした。
ところが、のら猫として生まれ変わった人生(猫生?)の時、
白い美しい雌猫に出会って、猫は初めて他者を愛することや
愛することの素晴らしさを知ります。
それまで抜け殻のようだった猫に、魂が宿ったかのように輝きが満ちてきます。
2匹の子供達が立派に成長した頃、ねこも彼女も すでに年老いていました。
そして ある日、白く美しい猫は静かに息を引き取りました。
ねこは愛するものを失って、初めて悲しみを知り、泣き続けたのでした。。
最初は高飛車で意地悪に見える猫の表情だが、物語の進行に伴って
だんだん親しみが湧いてくるのが不思議。
単調に人生を長く生きるよりも、短くたって愛も悲しみも知り、
充実していることのほうが大切だと、この絵本は説いているようだ。
最初にこの本を読んだ時は、
高飛車でプレイボーイなねこのお話だと思って感想を投稿しなかったけれど、
今回、何度も何度も読み直しているうちに、この絵本のおかげで
人生についても いろいろと考えさせられることが多かった。
かなり昔に佐野洋子さんのエッセイ「がんばりません」を読んで、
気ままで力の抜けた人生観の印象が強かったので、
こんなにシリアスな作品も手がけていらっしゃることを知って驚きました!
幅広い作品を創作できる人間性の大きさに感嘆です!