ずう〜っと前、福音館書店主催(多分)の研修会で伺ったお話です。参加者は自分の持っている「さんびきのこぶた」の絵本を持参するよう指示がありました。この「さんびきのこぶた」が出版されるときだったのかもしれません。
裏表紙を見て下さい。大きな立派な絵のモデルは、おおかみを食べた三番目のこぶたの成長した姿でしょう。その下で可愛いこぶた達が楽しそうにしています。それぞれが手にしているのものはどれも外での遊びというかスポーツに使うものです。このこぶたたちはおじいさんのお陰で、今では安心して外で遊べることを伝えているのだとか。もし三番目の豚が口の周りを血だらけにして正面を向いてオオカミステーキを食べている絵だったら、それは間違いなく残酷です。そうでないこの描写が読み手に安心感を与えているのです……。
う〜む、なるほど。ハッピーエンドだけが子ども向きのお話しではないのだ、ということを確認しました。
「ごめんなさい。もうしません」とあやまって仲良くするだけが子ども向けのお話しではないのです。私たちはずいぶん長い間、だまされていたのかもしれませんね。