最初にこの絵本を手にしたのは、私が中学生の時でした。大人に読んでもらう絵本を卒業してから、はじめて自分で気に入って購入した絵本です。
家族で湖のほとりへキャンプへ行ったとき、体験した湖の空気感と、この美しい水彩の風景と短い文章は、ぴったりでした。30年たった今読んでも、この絵本の美しさは色あせません。最後の夜が明けるシーンでの色の変化は、ページをめくる時に未だに胸がときめきます。そして、おじいさんと、孫という二人の関係が、とても新鮮です。現代も、こんな場面を子どもたちに体験させられたなら、どんなにことばを尽くすよりも、心穏やかに、自然の雄大さや命を学ぶことができるだろうと思います。