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鉢の木」 もゆらさんの声

鉢の木 文:たかし よいち
絵:石倉 欣二
監:西本 鶏介
出版社:ポプラ社
税込価格:\1,320
発行日:2005年11月30日
ISBN:9784591089460
評価スコア 4.4
評価ランキング 13,063
みんなの声 総数 4
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  • 無二を思う

    • もゆらさん
    • 60代
    • その他の方
    • 神奈川県

     絵の魅力に惹かれた一冊。

     監修西本氏の解説に、謡曲「鉢木」のえほんとある。
    武士の道義を語る内容・・・そんなむずかしいこと・・・
    そう思いながらページを繰ると

     天吹雪く真白のページに、笠目深の修行僧一人、
    白一色雪覆う陋屋の小窓に、人肌漏れる女一人、
    もてなしを恥入る主の、仙人枕噺に映す異国のまぼろし、
    吹雪の外からページ中へ、破レ家主が入れる三鉢の木色、
    上野国からいざ鎌倉、延々遥々道中に武士のハレ様痛々しさ・・・。
    石倉画伯の、不思議な色の世界に誘われていく心地よさ。

     丹精込めた盆栽、唯一の老木を薪に・・・。
    あぁ、この方に身を預けよう、そんな心境に人はなれるのか、信仰が見え隠れする本は苦手だが、主の心境が鏡のように自身に映るのがよく分かる。

     唯一無二「鉢の木」を無くし、陋屋の主は何を得たのだろう? 執権に回復せられた御家に安堵? そうではない。武士の誇りか? 人を信じ抜く自分か? それとも・・・。私は深く考え込んでしまった。

     ポプラ社に、感謝。

    投稿日:2023/09/10

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