障害を越えた友情に感動しました
|
投稿日:2010/12/02 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子14歳
|
『口で歩く』のレビューから気になって手にした本です。
四肢性マヒという生まれながらの障害を持つ新ちゃんと剛の友情物語。
障害を持って生まれた新ちゃんがたくましく育つ姿、幼なじみの新ちゃんに寄せる剛の友情に感動以上に引き込まれてしまいました。
新ちゃんは小学校5年生の編入で剛と同じ小学校になったのですが、幼なじみでいながら小学校1年から4年までを親と離れて障害者福祉学園で過ごしたのでした。
障害をもって弱さの目立った新ちゃんは、剛もびっくりするほどたくましく育っていました。
一緒に学校に行けるという喜びから、剛は新ちゃんを支えることを自分に課しました。
その思いやりが話の隅々に書かれていて心を熱くしてくれました。
この話の主人公は剛であり新ちゃんであり、テーマは障害かも知れませんがなにより二人の友情が素晴らしいのです。
障害に対して、強者弱者の図式から日常生活の中にいかにやっていくか。
普通に生活することをノーマライゼーションといいますが、どれだけ大変なことか…。
二人の友情が二人を成長させていくところが、現場を知っている人ならではの語りです。
新ちゃんがたくましくなった理由。
新ちゃんを支える剛の思い。
周りの偏見や軋轢に立ち向かっていく姿。
当たり前とか、普通とかいった言葉が障害者にとっていかに重いものか実感しました。
「がんばれといいたくない」というお母さんの言葉も飛び込んできました。
目頭を熱くさせるお話です。
|
参考になりました。 |
|
2人
|
|
|
再構築された『山月記』
|
投稿日:2010/12/03 |
てんぐざるさん 40代・ママ・埼玉県 女の子15歳、女の子10歳
|
中学生の朝読用の用意しました。
実は発売当初から気になっていたのですが、なかなか手に入れるのが遅くなってしまって…。
子ども自身、読み終えてすぐ「『山月記』のはなしだったよ〜。面白かった!」と、言っていましたが、作者の後書きを読むと、昔から何度も読み返してきた『山月記』を、自分なりに温めて世に出したのがこの本だそうです。
作者の目線で再構築された『山月記』を、李徴の子ども(主人公)の目線で描かれた世界は、とても興味深く、面白いものでした。
《父がなぜ、虎になったのか》、もしかしたらいつか自分も父のように変身してしまうのではないかと、不安にかられた李徴の息子が父の足跡を求めて旅に出るお話です。
見た目は分厚い感じがしますが、1ページ1ページのも字数は少なく(行間が広い)、文体のリズムもとても読みやすいので、中原中也に興味がなくても、《人間が虎に変身してしまう》という、不思議な現象に興味のあるお子さんにはぜひ、読んでほしい1冊です。
読んだ感じだと、小学校高学年から就学・高校生くらいのお子さんにお薦めできそうです。
|
参考になりました。 |
|
0人
|
|
|
こんなエンディングが実現できるよう・・・
|
投稿日:2010/12/01 |
アダム&デヴさん 50代・ママ・青森県 男の子12歳
|
バーニンガムさんの作品の中ではメッセージが前面に強く押し出されている作品だと思います。
1999年の「南紀熊野体験博」を記念して出版されたものだそうです。
地球という星を何千年もかけて思いを込め作り上げた神は、本当にとことんくたびれきって眠ってしまい、そのまま何万年も眠ったきりでした。
満足のいく出来映えに、きっと眠りも深くなったことなのでしょう。
そして、ある日目を覚まし、地球という星が今はどんな星か二人の人間の子どもと共に見に行くことにしました。
「なんてことだ」という神の驚愕と落胆の叫び。
この世界を大事にするようにと人間をもっとも賢い生き物に造ったのに、ことごとく汚され壊されている世界。
「・・・、何を、ぼくたちこどもはしなければならないでしょうか?」と神に問う子どもたち。
神は数々のメッセージを残し、再び深い眠りに入ります。
子どもたちは、でかけました。
環境破壊の源へ、宗教間のもめ事の場へ、戦争の先頭に立っている人々のもとへ。
そして、世界で何が起きているかちっとも気にしない人たちや、自分は何もしない人たちのもとへ。
ここへきてドキリとさせられます。
対岸の火事のような、今・今の事ではないというような、そのうちに賢人たちの知恵が寄せ集められきっと良い方向へ変わって行くんじゃなかろうか、人間はそんなに愚かじゃないという慢心や根拠の無い希望的予測を抱き私はこの年齢になってしまいました。
確かに私も何もしない人なのかもしれない。
この二人の子どもは、精力的に神のメッセージを伝え歩き、再び神が目覚め、地球を見にやって来て、・・・。
痛いところをつかれる作品でした。
こんなエンディングが実現できるよう、まずはこの絵本を子どもたちに紹介しましょう。
高学年から作品の趣旨を読み取れるのではないでしょうか。
|
参考になりました。 |
|
0人
|
|
|
いろんな読み方のできる絵本
|
投稿日:2010/11/30 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子14歳
|
植村花菜さんの自伝のような絵本であり、歌の「トイレの神様」の歌詞のストーリー化のようであり、先にだされた単行本のカッティングのようであり、とにかくおばあちゃん子であった主人公が歌手になるまでの道のりの中で、おばあちゃんの存在を振り返っているお話なのですね。
素朴なお話なのですが、トイレに神様がいるということがこの絵本の一番のポイント。
残念ながらまだ歌を知らないのですが、曲を聴いてみたくなるような絵本です。
主人公にとっておばあちゃんはとても大切な存在なのです。
そのおばあちゃんとも、自分の成長の中でだんだん遠い存在になってきました。
しかし、自分にとっては離れていてもとても大事な存在なのです。
大きなおばあちゃんの存在なのですが、死をのりこえなければいけない存在でもあるのです。
この歌でおばあちゃんに語りかける植村さんの姿が目に浮かびます。
素朴なだけに、じんわりくる絵本です。
しかし、ブームの後にトイレの神様が残っているかどうかちょっと心配な絵本でした。
|
参考になりました。 |
|
0人
|
|
|
「ヒェ〜〜〜、コワッ!」
|
投稿日:2010/12/01 |
アダム&デヴさん 50代・ママ・青森県 男の子12歳
|
佐野先生の訃報を知り、図書館で未読の作品を捜していました。
この作品は絵のみの担当ですが、別役先生の文がとっても佐野先生の絵とマッチしていたので、借りてきました。
志賀直哉の「小僧の神様」を読んでいる息子の横で、「フフフフ・・・」と笑っていたら、奪われました。
「この人、猫の絵が多いね」なんて言いながら読んで、「ヒェ〜〜〜、コワッ!」
「凄い話だ。考えられないよ〜。」と大笑い。
小さい子には、少々刺激が強すぎるかもと、親子で意見が一致しました。
アンテパン温泉の評判を聞き、愛猫タガールを連れて行こうとするナガールさん。
温泉までの厳しく険しい道もなんのその、タガールを背負ってやっと着きました。
ところが、ついてビックリ“お弁当持参で来ること”の注意書きを読まずに来たものだから・・・。
あとは読んでのお楽しみということで。
|
参考になりました。 |
|
0人
|
|
|
今の子どもたちにこそお薦め
|
投稿日:2010/11/29 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子14歳
|
ミステリアスなお話で謎解きのような感覚で読めるのですが、背景には広島の原爆で失われた命、生き残った子どもの奇跡が埋め込まれています。
母とともに母の実家の広島の「花浦」を訪れた直樹とゆう子。
母が仕事で九州に出かけている間に不思議な世界に入り込みます。
古びた家でイーダという女の子を待ち続けるイス。
自分がそのイーダだと思うゆう子。
謎解きとゆう子を現実に戻そうとする直樹。
謎の女性りつ子。
それぞれが重要な役割を果たしていて、りつ子が解き明かした事実はとても重いものでした。
8月6日という日に広島で何が起こったかを考えさせられました。
幻想的な趣向の話ですが、取材と実話に裏打ちされた話ですし、松谷さんの語りが心に響いてきました。
サスペンスの答えを出してしまうと申し訳ないお話です。
新装版としてあり続けるのですが、子どもにも入りやすい、そして大人にも感動のあるお話。
戦争、原爆を過去のものにしないためにも貴重な1冊です。
映画にもなっているようなので、視覚で確かめたいお話です。
|
参考になりました。 |
|
1人
|
|
|
戦争の仕方まで力抜けする風変わりさ
|
投稿日:2010/11/30 |
アダム&デヴさん 50代・ママ・青森県 男の子12歳
|
「おとうさんおはなしして」(理論社)のお話と同様の形態です。
お父さんが、息子にせがまれ“ぺこぺこ”のお話をし始めます。
昔ちっとも威張らない王様がいた。
お后にも家来にもぺこぺこして、・・・。
と、ここでお父さんの話を遮る息子。
「ちょっと、ぺこぺこがちがうんだけど。 僕がカンけりしたら、カンがぺこぺこになっただろ、ああいうやつ」
な〜んだ、そういうやつね。
私は、おなかがぺこぺこのほうかと思いました。
さ〜、お父さんどうお話をもっていくのかとワクワクしながら読みました。
もう〜、愉快な王様で、戦争の仕方まで力抜けする風変わりさです。
佐野先生ならではの発想ですね。
さらに、お后さまの〈あなたって すてき、ふんだ〉に爆笑です。
すっかり“ぺこぺこ”のことを忘れていましたが、ラストでそうだった〜、ともう一度笑いました。
|
参考になりました。 |
|
1人
|
|
|
「僕の中にも、・・・あるな〜」と苦笑い
|
投稿日:2010/11/30 |
アダム&デヴさん 50代・ママ・青森県 男の子12歳
|
石井先生の絵でしたので手に取りました。
表紙絵から主人公のツェねずみの性格を表した表情に、ストーリーの記憶が蘇って来ました。
他人にどんなに親切にされたって、有難いなんて思わない。
悪いことや嫌なことは全部誰かのせいにする。
果ては、「まどうて(償って)おくれ、まどうておくれ」としつこく詰め寄る始末。
万事がすべてこの調子で、何をしても周囲に当たり散らしていたツェねずみが、次第に世間を狭くしていき、最後には最も危険な“ねずみ捕り”としか交際せざるを得なくなり、・・・。
終盤の人間に対して少々反感を抱いていた“ねずみ捕り”と意外にもつきあえてはいたものの、次第に尊大な態度と言葉遣いのツェねずみに対し、怒り心頭に発した“ねずみ捕り”のアップのページは迫力がありました。
読後息子は、「僕の中にも、ツェねずみのような嫌な性格の部分があるな〜」と苦笑いをしていました。
文章がやや長めと敬遠されている方も、どこかユーモラスで説得力のある石井先生の絵で賢治作品に触れてみてはいかがでしょうか。
|
参考になりました。 |
|
0人
|
|
|
ドキッ
|
投稿日:2010/11/28 |
きのぴいさん 30代・ママ・栃木県 女の子4歳、男の子1歳
|
中学校で読み聞かせをしました。
中学生ってこれまで以上に好き嫌いが激しいような気がします。
何をするにしても「きもい」「うざい」
そういうマイナス面ばかり見る子たちをみて、いい部分も見て欲しいな〜、全部が悪いことじゃないんだよな〜、なんて思いをこめて読み聞かせをしました。
中学生に読み聞かせなんて・・・と思われる方もいるかとは思いますが、自分でめくるのと他の人に読んでもらうのとでは味わいが違うような気がします。
この読み聞かせの後、子供たちが少しやわらかくなったような気がします。子供たちに読み聞かせている中、私も自分を振り返って、少しドキッとしてしまいました。
本の帯ある「大切なのはゆるすこと」という言葉が、この絵本を象徴しています。
|
参考になりました。 |
|
2人
|
|
|
インパクトのある絵が印象的
|
投稿日:2010/11/29 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子14歳
|
儀間比呂志さんは、沖縄出身の木版画家。
太い線でとてもインパクトのある絵を描かれる方です。
少々暑苦しい感じもするのですが、沖縄に対する愛情、太平洋戦争時に沖縄の置かれた状況への怒り、平和に対する訴えを強く感じさせる作品を作成されています。
この絵本は、母親から生まれた鉄の赤ん坊のカナヒルが、自分をさらった鬼族の悪意をものともせず、最後には鬼を屈服させて受け取った鉄を島に持ち帰って島の人たちを助けたというお話です。
鬼が何なのか、鉄がどのような意味を持つのか、とても印象的です。
カナヒルの描かれ方が強烈で少しとりつきにくい感はありますが、沖縄の自然と人々を版画で描かれていて、とてもインパクトがあります。
もう少し深読みできれば、味わいも出てくることかと思いますが、私にとっては儀間比呂志さんの絵が初めての作品なだけに、次につなぎたいと思います。
|
参考になりました。 |
|
0人
|
|
|
自分を知るということかな?
|
投稿日:2010/11/26 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子14歳
|
かっぱが手にしたサルマタ(パンツ)。
それを身につけて大王宣言したのですが、決して良いことばかりではなかったようです。
かっぱ族の統制はとれたかもしれませんが、ストレスがたまるばかり。
食生活も無理がたたり、体がまいってしまいました。
サルマタを子どもに譲って普通のカッパになろうとしても、誰も欲しがらない。
権力を得るよりも、自分には自分の生き方があるとあっさりと断れてしまいます。
今時の(?)若者は非常に明確です。
結構大人向けの絵本かも知れません。
|
参考になりました。 |
|
0人
|
|
|
子どもの未来
|
投稿日:2010/11/24 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子14歳
|
ケンタ君が中学、高校と試練の中で成長していくお話。
ここにきてやっと子どもに薦める本となりました。(もちろん、3巻目から読んでもつまらないのですが)
やがて子どもは絵本を卒業するのでしょうか。
親としても子どもから卒業する未来を感じました。
|
参考になりました。 |
|
0人
|
|
|
生と死をみつめるもの
|
投稿日:2010/11/24 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子14歳
|
レビュー企画のせいか内容の良さか、爆発的なレビュー数につられて手にした絵本。
中身の濃さに納得です。
今にも息絶えそうなコブタ、自分が間もなく死ぬことも知らずコブタと対するオオカミ、そしてコブタとオオカミを見つめるシニガミさん。
このまま劇にしてもおかしくないメリハリのあるお話です。
気弱になったコブタは、オオカミのやさしさを受け入れつつ、自分の死を受け入れようとしています。
自分が死ぬことを知らぬオオカミは、活きのいいコブタを食べるためにまずは元気にさせるために家に連れ帰ります。
これは、オオカミにとっての手段でした。
おいしく食べるためにあの手この手を尽くすうちに、オオカミの気持ちが知らぬ間に思いやりに、愛情に変わって行く。
この設定に第三者が必要なのですね、シニガミさん。
とても美しい話です。
最後のシーン、コブタもオオカミも死ななくて良かったと思ったけれど、コブタとオオカミが天国で仲良く暮らしているようにも思えました。
だって、どうして助かったんだかわからないのですから。
どちらにしても最後のシーンがあるから、何度読んでも心に響く絵本です。
今回は、嫁さんの読み聞かせで私も聞き手に回りました。
余談ですが、『しにがみさん』(野村たかあき作)、『しにがみとばあさん』(鎌田暢子作)もお薦め。
シニガミってけっこう良い奴かもしれません。
|
参考になりました。 |
|
1人
|
|
|
本来はおひとよし
|
投稿日:2010/11/23 |
たれ耳ウサギさん 40代・ママ・群馬県 女の子19歳、女の子17歳、女の子15歳
|
宮西さんには親子して何度も泣かされました。
どのように、どっちが助かるの?
いやな事ですが、結末を予想して読んでしまっていたので
正直ちょっと予想外でしたが、ホッとしました。
シニガミさんが運命を決めるのか。
でも、運命を決めさせるのは自分自身なのですね。
取っ掛かりは利己的でもいい。
人の事が考えられるようになれれば、自分の運命だけでなく
周りの人達の運命すら変えることができるのですね。
「情けは人のためならず」
最近、解釈が変わってきてしまっているこの諺の
本来の意味が蘇ってきたような作品でした。
|
参考になりました。 |
|
1人
|
|
|
おいしさのもとは
|
投稿日:2010/11/23 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子14歳
|
ピーマンといえば好き嫌いの代名詞のようですが、住井さんはそこまで意識したのかどうか、落差を感じる内容ではありました。
周りがピーマン大王を好き嫌いするのではなく、好き嫌いをするのはピーマン大王。
家来たちは親身になって大王の望む食べ物を探すために四苦八苦。
国の食べ物に満足できない大王は、おいしいものを探して7年7カ月もおいしい食べ物をたずねて旅を続けます。
そして、最後に見つけた島で、大王は一杯の水をおいしいと感激するまでの体験をします。
労働こそおいしさの秘訣でしょうか。
いくら金があっても買えないものを見つけたのは良かったのですが、その後はどうなったのでしょうか。
食わず嫌いのわがままを通して、その間どうしていられたのでしょうか。
大王に振り回された家来たちは、どういう気持ちいたのでしょうか。
不思議がいっぱいですが、コンドルさんの絵も不思議な味わいです。
|
参考になりました。 |
|
0人
|
|
|
あおのかち〜
|
投稿日:2010/11/23 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子14歳
|
悪戯もののカッパの話。
でも、この絵本の中では憎めないキャラクターです。
馬のあおを川に引きずり込もうとしたら、あおの馬力に振り回されてつかまってしまいます。
木から吊るされてお仕置きされているときに、つい逃がしてしまったごんべえさん。
恩返しにととどけた、酒が溢れ出て来る魔法のとっくりは実はカッパの策略だったのですが、あおのおかげでごんべえさんは自分を取り戻します。
酒で怠惰になったごんべえさんを救ったのあお。
あおが大活躍です。
それにしても、かっぱどっくりの酒を止める方法まで伝えてしまったカッパ。
意外と、さびしがり屋の良い奴かもしれません。
この絵本の最後の急展開。
あおのおかげで正気に戻ったごんべえさんのページと、最後のページの間にもう一枚あっても良いように思いました。
|
参考になりました。 |
|
0人
|
|
|
大納言の女人好きの弱点をつかれ、・・・
|
投稿日:2010/11/23 |
アダム&デヴさん 50代・ママ・青森県 男の子12歳
|
「今昔物語」が絵本!
勇んで手に取り、読みました。
「狂言」が絵本になったものをたくさん楽しんで読みましたが、これもいけます。
中高生だって、古典の学習の際にイメージを描きやすそうです。
この作品は、「今昔物語集」の中から巻十六におさめられている「隠形男、依六角堂観音助顕身語」などの説話をもとに、新たに絵本として創作したものだそうです。
さて、お話は京の都にいた権大納言が主人公。
友人の陰陽師の家で、碁に夢中になるあまり帰宅の時間が遅れ、すっかり日が暮れてしまい、恐ろしげな鬼の集団と遭遇しそうになり、おつきの者たちと橋の下に隠れ、無事災難をやり過ごしたかに思いましたが、この大納言の女人好きの弱点をつかれ、・・・。
鬼の集団が、松明を掲げ橋を渡るシーンは迫力があります。
この時代、人間が外を出歩くべき時間帯でない時間に外にいた大納言の悲劇ですね。
当時は、人間界と異界の生き物の一線をしっかりひいた思想観があったことも窺われます。
鬼の吐いたつばがかかると姿が消されてしまういうストーリーに、「平安時代の透明人間のお話のようだね」と息子にもうけました。
ラストまで気の抜けない構成で、私も大人ながらドキドキさせられました。
ほりかわ先生の絵がこの作品にピッタリでした。
|
参考になりました。 |
|
0人
|
|
|
ひっくり返して、もう一度。
|
投稿日:2010/11/22 |
めざせ!ストーリーテラー!あっちゃんですさん 40代・ママ・奈良県 男の子16歳、男の子15歳
|
6年生の朝読で読みました。
最後まで読んで逆さまにすると、違う絵になって話が続きます。
「今日はおもしろい絵本を持ってきました。」と、読み始めました。
「これ知ってる!」と声をあげてくれる男の子がいて、その子は読んでいる間、ずっと顔を傾けて(しかけを知っているんでしょうね。)隣の席の子と確認しながら、見入ってくれてました。
往復読み終わった後で、各ページひっくりがえして、子どもたちと確認しあいました。できれば、手元でじっくり1ページずつ読めたら楽しいですよね。
だまし絵とか好きな子にはたまりません!
中学生にもオススメです。
|
参考になりました。 |
|
0人
|
|
|
巻物が本になりました
|
投稿日:2010/11/21 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子14歳
|
ページ毎の絵の重なり具合が気になっていたら、基が巻物なのですね。
巻物で見たら話の流れと迫力が倍増されたと思いますが、寸断されてしまった分少し物足りなさが残りました。
大金持ちの金丸が手にしたまんげつという名の弓は、見かけは悪いけれど岩も砕いてしまうほどの素晴らしい弓でした。
その弓によって戦に勝利し大王となった金丸は、弓をより権威ある象徴とするために、彫り物師に手を加えさせます。
そのために弓はもろくなってしまい不幸が訪れるのですが、おごりが過ぎると身を滅ぼすとのたとえでしょうか。
皮肉にも金丸の失落により、国から争いがなくなり平和になったという訓話にもなっています。
住井すゑさんの理念が貫かれたお話と思いますが、田島征彦さんが妙に遠慮しているように感じてしまいました。
『じごくのそうべえ』や『とくべえとおへそ』のような破天荒さで巻物を綴ったら、さぞやすごいだろうと思うのですが、余白部分の広さの中に田島さんがいないように思いました。
|
参考になりました。 |
|
0人
|
|
|
素敵なお母さん!こんな親になりたい。
|
投稿日:2010/11/20 |
てんぐざるさん 40代・ママ・埼玉県 女の子15歳、女の子10歳
|
小学校の高学年から、中学高校生くらいのお子さんたちに特にお薦めしたい1冊です。
作者が女性なので、どちらかというと男の子は手に取りにくいかもしれませんが、作品の登場人物には思春期の男の子たちも結構な割合で登場するので、気おくれせず、できれば男の子たちにも読んでほしいです。
あと、思春期のお子さんをお持ちの、お父さんお母さんにもお薦めです。
この作品は同じボランティア仲間のお母さんから教えていただきました。読み始めて、文章の読みやすさと、登場人物たちの生き方に惹かれ、あっという間に読み終えてしまいました。
上の子の朝読に持たせたら、「なかなか面白かった」としかいいませんでしたが、私の感動が大きかったので、評価は星5つ!
「卵の緒」の君子母さん、素敵でした。私も子どもに対してこういう母でありたいなぁと思います。
「7’s blood」の母さんも、心意気があっぱれ!で、大好きです。
|
参考になりました。 |
|
0人
|
|
|
※参考になりましたボタンのご利用にはユーザー登録が必要です。
|