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- ためしよみ
スイカをつついたカラスを追いかけ、いつのまにやらはだしになって……!? 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、『はだしであるく』。ぐにゃり、ちくちくぞわぞわ。どんな内容なのでしょう。
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
あ、あ、カラスがスイカをつついてる。こらぁ! ガァッと鳴いて飛びたったカラスを追って、女の子ははだしのまま畑の外へ。道路の上をはだしで歩くと、ちっこい石が足の裏にくいくいあたる。あれれ、どこも全部感触がちがう。ふんわりしてたり、硬かったり、じんめりしていたり、乾いていたり。足の裏をべったりつけて歩くと、道路の王様になった気分!
公園までやってくると、はだしの足の裏は土の上。川の土手から一気に川へ。ひんやりした川砂が、足の甲の上をすべっていく。川の音がする。風の流れる音がする。立ちどまって目をつぶってみると……。
はだしで踏みしめる地面、足の裏で感じる地球。女の子の様子を見ているだけでドキドキしてしまうのは、はだしで歩くことなんて最近なかったから? それともどこかで記憶しているあの感触を思い出したから?
直接触れるだけで、世界の見え方が変わる。大きくうでをふって、大またで歩く。呼び起されるのは身体感覚。いつもは見えない景色が見えてきて、いつもは感じない力が体の中から湧いてくる。「うぉぉぉ」。
女の子の姿を通して感じる、作者村中李衣さんによる強いメッセージ。石川えりこさんの描く柔軟でダイナミックな絵によってその感覚を体験することができる、気持ちのよい一冊です。
足の裏の記憶はいつまでも
はだしで歩くことなんて、いつからしてなかったかな。でもあの感触だけは、はっきりと足の裏の記憶に残っているのです。冷たい土の上、ざらざらした砂の地面、水の中でぎゅっと踏みしめる小石。そして、慣れてくるとどんどん気持ちが大きくなってきて。心がうずうずしてきます。もしかしたら、はだしになるのも怖い子がたくさんいるかもしれませんよね。この絵本を読んで、好奇心の方がちょっとだけ勝る……なんてことを願っています!
この書籍を作った人
1958年、山口県生まれ。児童文学作家、ノートルダム清心女子大学教授。0歳から100歳まで絵本の読みあいを続ける。主な作品に、『かあさんのしっぽっぽ』『よるのとしょかんだいぼうけん』『マネキンさんがきた』(以上、BL出版 )、『こくん』(童心社)、『『小さいベッド』(偕成社)で産経児童出版文化賞、『おねいちゃん』(理論社)で野間児童文芸賞、『チャーシューの月』(小峰書店)で児童文学者協会協会賞受賞。第1回日本絵本研究賞受賞。
この書籍を作った人
1955年福岡県嘉麻市生まれ。横浜市在住。 デザイナーを経て、 フリーのイラストレーター・絵本作家となる。 幼少期の体験をもとに描いた「ボタ山であそんだころ」(福音館書店)は 2015年に第46回講談社出版文化賞絵本賞及び 2017年に台湾でOpenbook最佳童書を受賞。 同作品は2015年にブラティスラヴァ絵本原画展へ出展。 『あひる』(くもん出版) 『てんきのいい日はつくしとり』(福音館書店) こどものとも『ことしのセーター』(福音館書店) こどものとも『しんやくんのマラカス』(福音館書店) 『流木のいえ』(小学館) 『かんけり』(アリス館)ミュンヘン国際児童図書館の目録『ホワイト・レイブンズ』入選/JPIC絵本大賞4位 『しぶがき ほしがき あまいかき』令和元年度社会保障審議会福祉文化財推薦作品特別賞/2020児童福祉文化賞推薦作品受賞 挿絵では 『またおこられてん』文/小西貴士(童心社) 『こくん』文/村中李衣(童心社)2020年新潟県課題図書 『あららのはたけ』文/村中李衣(偕成社)2020年坪田譲治文学賞/JBBYおすすめ!日本の子どもの本 『ねこのこふじさん』文/山本和子(アリス館)JBBYおすすめ!日本の子どもの本 『おれ、よびだしになる!』文/中川ひろたか(アリス館)2020年度全国課題図書/BIG2020日本推薦絵本として出展(シンガポール)/第4回日本こどもの本研究会作品賞 他多数
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。