人気コンビがおくる、新作クリスマス絵本
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みどころ
深い海で響く歌。海面から吹き出す真っ白な水煙。波を持ちあげて立ちあらわれる、山のような体。そのとき海中を悠々と泳いでいるのは、同じ地球上で今も生きる巨大生物、クジラです。
地球でもっとも大きな動物である、シロナガスクジラ。
1000メートルもの深海で獲物を狩る、マッコウクジラ。
同じクジラでも、住む場所や時代がちがえば、その姿も能力も大きく異なります。
暗い深海もなんのその! 音で獲物を探し出す、エコーロケーション。
海水ごと丸呑み! その大きな体に備わった、プランクトンを効率よく食べるための秘密。
長い進化の歴史のなかで、クジラが獲得してきたたくさんの技と機能。その秘密に迫るべく、本書がはじめに描くのは、5000万年前の地球です。
そんな太古の大自然、川のなかを四本足で歩き回る、オオカミに似た動物がいます。その動物の名前は、パキケタス。なんと、クジラとは似ても似つかぬその動物こそ、初期のクジラの仲間なのです!
そこからクジラは少しずつ、水のなかでくらすための体に進化していきます。4000万年前には、どうやっても恐竜にしか見えない恐ろしげな姿に変わり、やがて、水の抵抗を受けない、いまのクジラに近いなめらかなシルエットに進化していきます。
そして、注目すべきは鼻の穴! 他の哺乳類と同じく顔の前面についていたクジラの鼻の穴ですが、5000万年の時のなかで、彼らの鼻の穴は少しずつ、少しずつ、別の場所へと移動していって──?
クジラの祖先を追いながら、5000万年におよぶ進化の奇跡を追体験していく本書。知られざるクジラの生態を学ぶことができるのはもちろんですが、広大な海を生きる彼らの姿を描き出したイラスト群が、迫力抜群!
時に暗い深海を、時に明るい水面近くを泳ぐ、クジラたち。イラストに描きこまれたその巨大なサイズ感に、圧倒されます。
特に印象的なのは、太古の巨大ザメ「メガロドン」と、一本が30センチもある牙をズラリと揃えたクジラ「リビアタン」を描いた一枚! 鋭い歯と巨大な体を備えた両者の戦いは恐ろしくも神秘的で、ページをめくった瞬間にゾクゾク……!
5000万年が育んだ進化の奇跡を、大迫力のイラストと共に紐解く科学絵本です。
クジラについて知っていることといえば、地球上で最大の生物であり、海にいながら哺乳類であること、あとはせいぜいハクジラとヒゲクジラの2種類がいることくらいでした。
この絵本を読むと、クジラの進化から生態にいたるまで、実に様々なことが分かり、もはや絵本の域を超えていると感じました。
1億年前の恐竜時代からどうやってクジラの祖先が生まれたのか、どういう進化を遂げて形を変えていったのか、本当に興味深い話ばかりでした。
中でも、魚類の尾びれとクジラ類の尾びれでは付き方や動かし方が違うということ。イルカの胸ビレの中には前足の名残として5本の指の骨があること。鼻の位置も時代と共に移動していったこと。ページをめくるたびに「ほぉ〜!」と感動するやら驚くやら、新しい発見ばかりでした。
地球上で命が死に絶え、また1から生命が芽生えたとしても、二度と同じ道筋で進化が繰り返されることはない。
あとがきを読んで、今この地球上で生きていることの奇跡、すべての命が愛おしく、この奇跡を決して失ってはいけないと感じました。
美しくリアル感のある圧倒的大迫力の挿絵も素晴らしく、子どもだけでなく大人にもオススメの1冊です。
(MYHOUSEさん ママ)
タイトルのとおり、徹底的にクジラの進化にスポットライトをあてた科学絵本です。
一億年前の魚竜、首長竜、恐竜の絶滅の後、一部の哺乳類が水辺(水中)で暮らす道を選び、進化していく様子が年代毎の代表的なクジラの紹介とともに描かれています。
要所要所に、推測の科学的な根拠も紹介されていて、とても面白く、興味深く読みました。
見開きにまたがって描かれるクジラはドラマチックで、それぞれのページに物語があって引き込まれます。
クジラの進化の物語をたどったあと、抜群のタイミングで系統樹が描かれているのも良かったです。
子どもにも、大人にも、「知りたい気持ち」を満たしてくれる一冊です。
(こはこはくさん ママ)