谷口智則さん最新刊 全然違う「きみ」と「ぼく」の物語
絵本紹介
2023.02.28
みどころ
子どもって、大人が思うよりも大人のことをよく見ています。聞こえていないと思ったことでも、意外とよく聞いています。そんな言葉どこで覚えたんだろう?と思っていたら私の口癖だった、なんてことも……。
「ボク かあちゃんのこと なーんでも しってるよ」
と言うのは、子ぶたのお兄ちゃん。このお兄ちゃんも、お母さんのことをよく見ています。お母さんの行動から、次に言う言葉がわかるのです。でも、わかるからってその通りにするとは限りません。買い物に行ったとき、今日はお菓子は買わないよと言われても「どっちか いっこだけ」とおねだり。ちゃっかり買ってもらったお兄ちゃん。お母さんはお母さんで、お兄ちゃんがどう返事するのかわかっていたのかもしれませんね。
さて、買い物から帰ってきたお兄ちゃん。お母さんの代わりに洗濯物を取りこもうとしますが、失敗してしまいます。怒られるに違いないと思うのですが、果たして……。
お兄ちゃんを小わきに抱えたときのお母さんの頼もしさは、さすが! 立派にふるまってくれるのもうれしいけど、まだまだ子どもなんだからわがまま言ったり失敗したりしてもいいんだよと言っているような、お母さんの優しさが伝わってきます。
この書籍を作った人
1965年生まれ。東京都出身。『さるの尾はなぜみじかい』『こおにの くもづくり』で2014年Hearts Art in Saitama-色彩と明暗 -にほんのえほん展で金賞受賞。前記作品に『ある はかせ』を加えた三作品で2015年Hearts Art in TOKYOエイズチャリティー美術展公益社団法人東京都医師会賞受賞。IKEの会所属。
子どもは親のことをよく見ているけど、親は一枚上手
「子どもって、親のことをよく見ているんだよな」と思うおはなしでした。
こぶたのお兄ちゃんは、お母さんの言動や周りの状況から、お母さんが次に言いそうなことを先回りして口にします。その様子に、「自分もこんなふうに子どもに見られているのかな」と気恥ずかしくなりました。
けれども、最後の子どもの予想の一段上をいくお母さんの言葉に、自分のことのように誇らしく思うとともに、「私もこんなお母さんになれるように頑張ろう」と思いました。
大人も子どもも楽しめる絵本だと思います。
(さくらっこママさん)
失敗しても怒らず許すお母さんの優しさを私は持てているだろうか
お手伝いしようと思ったお兄ちゃんの気持ちを大事に拾って、失敗しても怒らず許すお母さんの優しさを私は持てているだろうか。
子育てしていてもこんな事ってある。
部屋を散らかしたり物を壊したりした事実を見て叱っても、よくよく理由を聞いてみると何か理由があったりする。叱って後悔して謝る事もある。
この絵本を読み聞かせながら、事実だけを見て頭ごなしに怒らずに、ちゃんと子どもの気持ちに寄り添わなくちゃいけないな、と思った。
お兄ちゃんだって失敗するし、甘えたいし、わがまま言いたいんだよなぁ。
(ジル子さん)
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