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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  絵本紹介  >  【続・考察】『100万回言えばよかった』を『100万回生きたねこ』で読み解く

いよいよ本日最終回を迎える、TBSドラマ『100万回言えばよかった』(金曜22:00から放送。時間変更の可能性あり)。不運な巡り合わせにより、恋人・鳥野直木(佐藤健)を失った主人公・相馬悠依(井上真央)は、幽霊になった直木の姿が見える刑事・魚住譲(松山ケンイチ)のおかげで、直木が自分の傍にいてくれることに安心と喜びを感じていました。
※この記事はドラマのネタバレを含みます。

姿が見えなくても、触れられなくても、悠依の傍にいる直木。ドラマでは「幽霊」と表現されていますが、悠依に寄り沿っているのは、間違いなく直木の「心」です。そんな風に恋人を包み込む直木の温かさを表現したような、赤い装丁が美しい『100万回生きたねこ[45周年記念限定版]』が、好評発売中です。

  • 100万回生きたねこ[45周年記念限定版]

    出版社からの内容紹介

    佐野洋子の不朽の名作絵本『100万回生きたねこ』は2022年に発売45周年を迎えました。

    窓あきの赤い函に入った瀟洒な布装、タイトルの金箔押しなど、
    持っているだけでうれしい特別な本ができあがりました。

    いまだけ手に入る名久井直子デザインの限定版。
    プレゼントにも、自分のための愛蔵版としてもぴったりの『100万回生きたねこ』です。

    *2000部限定(シリアルナンバー入り)
    *とらねこの特大ステッカー入り
    *サイズ 左右20センチ×天地18.5センチ

先週3月10日に放送された第9話では、直木を手にかけた真犯人が判明し、事件は解決となりました。それは、悠依と直木の「二度目の、永遠の別れ」を意味していて……。

ところが突然、ありえない奇跡が起きて、悠依も視聴者もびっくり! というラストシーンで終わりました。悠依と直木はこれからどうなるのか!? 絵本『100万回生きたねこ』のテーマ性やレビューを交え、物語の結末を考察してみます。

前回の記事はこちら

『100万回生きたねこ』が示唆する恋人たちの死生観

ドラマ『100万回言えばよかった』には、3組の恋人が登場します。ひと組目は、主人公・悠依と直木。ふた組目は、悠依と直木の里親・広田勝(春風亭昇太)とその妻の美貴子(桜一花)、3組目が横浜医科大学に勤める脳神経内科医の宋夏英(読み「ソン・ハヨン」、シム・ウギョン)と魚住にそっくりだという死別した夫・祐鎮(ウジン)です。

悠依と直木をはじめ広田夫妻を知る人はみな、「理想の夫婦」としてふたりを見ていたのでしょう。仲良く暮らし、引き取った里子たちに愛情を注ぎ育て、世の中に送り出してきたふたりの姿は、まさに『100万回生きたねこ』のラストシーンそのもの。

その勝が、2022年11月に病気で亡くなってしまい、直木は「仲が良すぎる夫婦っていうのもどうなのかな……残された方は辛い」とひとりごちます。その言葉に応えるように悠依が『100万回生きたねこ』を朗読し、彼女に寄り沿うように一緒に絵本を読む直木の姿が印象的でした。

直木は、白いねこを失ったとらねこの、辛さや寂しさに共感した様子でしたが、悠依は「死んでほしくない」とドライに返します。複雑な表情の直木を見て、「薄情だって言いたいんでしょ?」とつっこまれて、思わずごまかす直木。その本音は後に本人が語りましたが、聞こえたのは魚住だけ。言えばよかったと後悔しているのに、自分が消えそうになったときでさえ「好きだ」と言えなかった直木。後で魚住にも「やっぱり」と言われていましたが、最終回でやっと悠依に伝えることができるのか、気になりますね!

悠依の未来を暗示する、ハヨンの姿

直木がいなくなったショックで呆然とし、交通事故に遭いそうになった悠依を助けた宋夏英(読み「ソン・ハヨン」、シム・ウギョン)は、当初は同じ傷を持つ仲間としての繋がりだけだと思っていましたが、彼女の亡くなった夫・祐鎮(ウジン)が魚住にそっくりという伏線が、後半になって重要度を増します。

ハヨンの夫は交通事故で亡くなりましたが、その事故を起こした女性・原田弥生(菊地凛子)が幽霊になって魚住の前に現れ、ハヨンに謝るために協力して欲しいと言うのです。魚住と悠依は弥生の願いを叶えるためにハヨンを呼びましたが、ハヨンの反応は予想外のものでした。

「私は許してあげないといけないの?」
「謝られてどうとかではない。許したらどうとかではない」
「私は……許せない」

※TBSドラマ『100万回言えばよかった』よりセリフ引用

心を現世に置くほどの願いを解消してあげたいという幽霊に対する魚住の優しさは、夫を亡くした痛みを今なお抱えているハヨンにとって、ためにならないものだったのでしょうか。そして悲しむハヨンを見つめる悠依は、いずれ自分も同じ思いを味わうことに気づいていたのか、今の段階ではなんともいえません。

100万回泣いたら、その後は元気ピンッピンに生きていって欲しいと、かつて直木が生きているころに抱いていた『100万回生きたねこ』の感想の通り、悠依は元気で生きていけるのか。最終回での彼女の答えを見守りたいですね。

魚住も『100万回生きたねこ』のとらねこだった!?

さて、ドラマを観ていると『100万回生きたねこ』のとらねこは直木、白いねこは悠依と見立てることができますが、「直木を想う悠依」を想う魚住もまた、とらねこではないかと感じます。悠依のために直木に自分の身体を差し出す魚住は、自分が死ぬのは平気だと思っていた時のとらねこにそっくりなのです。

単なるロマンチシズムではない、生と死のルールを越えて、想いが、魂が、どう繋がっていくのかを考えされられる本作。その精神は、絵本『100万回生きたねこ』で佐野洋子が描いた、独特の死生観に近しいものを感じます。

最終回の予告を見ると、ひょっとして彼は、もっとも選んではいけない道を選ぶのではないかという予感しかしません。でも、予告編では直木と悠依、魚住が仲良くならんで食事をしているシーンもあり、本当にいったいどんな結末がまっているのかが気になりますね。

レビューのご紹介

多くの人の心に、たくさんの波紋を投げかけている絵本『100万回生きたねこ』に寄せられたレビューを紹介します。

この絵本に初めて出会ったのは小児科の待合室だった。当時、決して軽いとは言えない病気を患っていた4歳の娘を連れての通院が日課になっていたのだ。私の影響でねこが好きだった娘に読んでやろうかと何気なく手にとった絵本の表紙には、ふてぶてしいとらねこがでんと構えていた。
ページを開くと何度も死んでしまうとらねこ。娘もなんとなく微妙そうな顔をしている。どうやってオチをつけるのだろうかと心配しながら読み終えた。最後、生き返らなかったとらねこに温かさだけではない何かが心に湧き上がる。「なんだか変わったおはなしだったね?」と少しキョトンとしている娘を見ながら、確かに病院に置く本なのかと疑問も感じた。正直、ちょっとモヤモヤした読後感だったのだ。

しばらくして、仕事で絵本を読むことが増えて、とある本屋でこの絵本に再会した。なぜだか表紙のとらねこを見たらどうしてももう一度読みたくなって、すぐに買ってしまった。じっくり読み返してみると、いろいろなことが感じられた。大切なものを持つことと失うことの意味。生きることの目的。他者と心が通じ合う喜び。自分であることの誇り。けれどもこの話の主眼はそれだけなのだろうか? 白いねこに心を奪われたとき、とらねこは何かに負けて何かを失ったのではないか? けれども同時に初めて何かを知って初めて自分よりも大切なものを得ることができたのだ。トラネコは最後幸せだったのだろうか? 生き返らなかったのは生きることに満足したからなのか? 失うことの悲しさを二度と味わいたくないからなのか? 感動しながらその感動の所在がよくわからなかった。

それから何度もこの絵本を読んだ。読むたびに違った何かが見えてくる気がした。

(猫月カエルさん)

初めて読んだのは10年以上前だったかだいぶ前のことだ。
主人公のねこは自分を愛していたけれど、100万回死に又生まれたが自分以外を愛したことはなかった。そしてなんと100万回目に自分より愛する者家族を見つけ、死に、もう生まれかわることは無かった。


「わぁー、そうか、愛する者ができてこそ、生きる意味があるのか」とすごく心に残った。                    
けれど私には何かどこか、もやもやしたものも残った。「私は本当にこのねこのように人を愛したことがあるのか?」「その前にそもそも自分自身を愛しているのか?」と考えさせられた。

そんな複雑な思いもあるけれど佐野洋子さんのどってとしたねこの絵がとても印象的で私の感動した本のベストテンには絶対入り、人にも勧めている。

(リボンの騎士さん)

ドラマにはまっている恋人に、「一生そばにいたい」と思う相手へのプロポーズがわりに、『100万回生きたねこ』45周年記念限定版がおすすめ! なお[45周年記念限定版]は限定2000部。販売も、一部の書店、ネット書店でのみの販売になります。ぜひこの機会に手元に迎えてあげてください。

構成・文/ナカムラミナコ

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