出版社エディターズブログ
2023.09.08
2012年に幼稚園や保育園で読まれている月刊保育絵本から生まれ、市販でも版を重ねているロングセラー絵本「セブンの行事えほんシリーズ」。
ヒーローなのにおっちょこちょいなセブンが行事についてコミカルに解説する、初めての行事えほんにぴったりのシリーズです。
シリーズ最新刊『いもほりセブン』、『ハロウィンセブン』が9月10日に同時発売を記念して、お話を手掛けたもとしたいづみさんと、絵を手掛けたふくだいわおさんに「セブンの行事えほんシリーズ」の背景についてお話いただきました。
ーーどうやってセブンの行事絵本シリーズは生まれましたか?誕生秘話をお聞かせください。
もとした:最初は「七夕の話を」というリクエストでした。さらに編集者さんが「『すっぽんぽんのすけ』のようなキャクターがハッキリした主人公がいるのが理想」と言うので、「世」界「文」化社だし、7月7日で「セブン」なので、「たなばたセブン」というズッコケヒーローを思いつきました。どんなキャラになるのかなと楽しみにしていたところ、ふくだいわお先生の大胆なラフを見て、びっくりしました。
ふくだ:セブンシリーズでは、僕は絵を担当しています。行事につなげてのお話シリーズにまで発展したのは、作家のもとした先生のおかげだと思っています。
ーーセブンの行事えほんシリーズの裏話を教えてください。
もとした:ふくだ先生にお任せのセブンのコスチュームを、私もいつも楽しみにしていますが、北海道の子ども会で、毎回新しいセブンの衣装で登場するお父さんがいると聞き、会いに行ったことがあります。
ふくだ:ヒーローでありながらヒーローっぽくない、誰にでも愛されるような主人公を想定して、出来たのが今のセブンです。登場月によってコスチュームを変える事も、楽しいキャラクター創りの一つになりました。
ーーセブンのおはなしを描く上でのこだわりはありますか?
もとした:月刊誌がスタートなので、行事の由来を入れることになっています。が、あまりお勉強っぽくしたくないし、なんでもよく知っているセブンにしたくはありません。
ヒーローのような登場をするわりには、頼りなくてそそっかしい、時には空回りして迷惑な時さえあるセブン、そして、いつの時代も寛大で心優しい子ども達の姿も見てほしいです。
ふくだ:特にありません。毎回お話をいただくたびに、どのように描こうか考えるのも大きな楽しみになっていますから。
ーー『いもほりセブン』のみどころを教えてください。
もとした:セブンの登場の仕方は毎回決まっているのですが、今回はふと思いついて、これはどうでしょう? とおそるおそる提案してみたところ、するりとそれが通りました。今までにない異色の現れ方に期待してほしいと思います。
ふくだ:『いもほりセブン』はどの場面も好きです。もともと自然の中の子供たちを描くのが好きでしたからどの場面も楽しく絵作りが出来ました。ですので、あえてお気に入りの場面となると、描ける自信の無かった芋尽くしの料理場面でしょうか。編集部の助言を得ながら、どの料理もおいしそうに描けたと満足しています。
ーー『ハロウィンセブン』のみどころを教えてください。
もとした:もともと私の原稿にはなかったのですが、新担当編集者の提案で、小さなおばけが登場します。これがすごくかわいい!
大人は見過ごしそうですが、子どもたちは気づくと思います。ぜひ探してみてください。
ふくだ:ハロウィンの見どころは何と言っても仮装です。色々な仮装姿のお兄さんやお姉さんから沢山のお菓子を受取っている場面です。この場面は描くのは大変でしたが、その甲斐がある満足感を得ています。
ーーシリーズ10作目を迎えて、今のお気持ちはいかがでしょうか?
もとした:こんなに続々と出ることになるとは思ってもみませんでした。さらに担当編集者が次々変わったこともあり、キャラ設定や関係性などを決めることもなく、ここまで来てしまったので、最初に決め込まなくても結構やっていけるのね、という妙な自信がついたところです。笑
ふくだ:最初の『たなばたセブン』を受けた時には、まさかこんなに続くとは思いもしませんでした。これはもうただただ、もとした先生と編集部のおかげだと感謝しています。
ーー今後の行事えほんシリーズの展望を教えてください。
もとした:なんとなく12ヶ月分、12冊で完結! と思っていたのですが、同じ月のものも構わず出ているので、一体どこまで行くのだろう? と私もわかりません。読者の方から「こんな行事も!」というリクエストを募集したいです。
また、行事とは別に、セブン全員大集合!! とか、実は同一人物だった新事実、とか衝撃のエピソードが入ってくるかもしれませんよ! 笑
ふくだ:ここまで来ると、まずの目標であるセブンの行事シリーズを12か月分揃える事が出来れば嬉しいです。
そののちも、活躍しながら失敗もし、子どもたちを助けたり、子どもたちに助けられたりする、ユニークなキャラのセブンを描き続けられればと願っています。
絵本・童話作家。 編集者、ライターなどを経て子ども向け作品を書き始める。 『どうぶつゆうびん』(あべ弘士・絵 講談社)
そのほか絵本に「セブンの行事えほん」シリーズ(ふくだいわお・
1950年岡山生まれのかに座。 『がたたんたん』(ひさかたチャイルド)で絵本にっぽん賞受賞。 絵本に、『おならばんざい』(ポプラ社)、『ぼくだけのおにいちゃん』(文研出版)、『いただきまーす!』(フレーベル館)、『花さかじい』(くもん出版)、『いっぴきおおかみのそろり』(教育画劇)などがあり、挿絵には、『ジュン先生がやってきた!』(新日本出版社)、『吹きぬけの青い空』(学研教育出版)、『ひみつの空のにわ』(大日本図書)、『リタイア犬ポリーの明日』(佼成出版社)などがある。