ピエロの横顔と手のひらにのせた赤い小さな箱。 そしてタイトルの「さあ、はこをあけますよ!」。なんとも不思議な印象の表紙の絵本。 さて、一体どんな絵本なのかしら?
赤くて長い帽子がトレードマークのサーカスの団長、通称「サーカスおじさん」。 今日も大きな赤いテントの前で手のひらにのせた箱をみんなに見せながら呼び込みをしています。 「このちいさな ちいさな ちいさな はこのなかには、びっくり どっきり ぎょうてんするものが はいってるよ。みんなこぞってみにいらっしゃい!」 お客さんがわいわいがやがや集まってきて、みんな何が入っているのかドキドキワクワク。期待が高まります! 「さあ、はこをあけますよ!りょうのまなこをよーくひらいて みてらっしゃい。 まばたきしてたら みのがしちゃうよ。それ、いっせいのせっ!」
サーカスおじさんが、小さな箱のふたをあけると、あらなんとまぁ、そこにいたのは、ちいさな、ちいさな、ちいさな、ちいさな、ちいさな、ちいさな、「小さな」が6つ続くくらい小さな、それこそ手のひらにのるくらいの世界最小の小さな犬がちょこんといるではありませんか。なんともいえない可愛らしい佇まいの小さな犬は、サーカスの人気者! その名もピーウィー。 何か特別な芸ができるわけでもないのにだれもがピーウィーを見たとたん大、大、大好きになってしまうのです。お客さんもサーカス団員のだれもが、ピーウィーのことが大好きでたまらないのでした。ところが、突然胸が凍りつくような残酷が事が起こります。なんと、ちいさな、ちいさな、ちいさな、ちいさな、ちいさな、ちいさなピーウィーがどんどん、どんどん、どんどん大きくなってごくごく普通の犬になってしまったのです!ああ、なんてこと。芸もできず、小ささだけが取り柄だったピーウィー。もう、サーカスには必要ありません。 サーカスおじさんは泣く泣くピーウィーに別れを告げるのですが・・・。
この絵本は、1930年に初めての絵本を描き大成功をおさめた作者のドロシー・クンハートさんが描いた2作目の作品です。とてもおどけていて、何の脈絡もないそのはちゃめちゃな作風はあまりにも独特!ところが発売されてビックリ仰天!子どもたちには大好評だったのだそうです。子どもが「面白い!」と思うものに理由なんていらないと、太鼓判を押してくれる1冊になる予感がします。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
さあさ、よってらっしゃい、みてらっしゃい! サーカスおじさんがご自慢の小さな小さな小さなはこをあけると、中には小さな小さな小さな犬ピーウィーがいました。ピーウィーはサーカスの人気者。ところが、とんでもないことが起こります……。へんてこな絵も、しまりのない文も、これがどうしてクセになる異色のユーモア絵本。こんな絵本、みたことない!
巻末の作者についての説明を読み、まあこれはこれでありなのかなと思う事にしました。世の中、何が受け入れられるかわからないですからね。活字が一切無いというのも新しい。私の中では、走り書き絵本のパイオニア的位置付けです。 (梅木水晶さん 30代・ママ 女の子5歳、男の子3歳、女の子0歳)
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