わすれもの、なくしもの…、だれもが1度は心あたりがあるのでは? でも、どうしても見つからなかったわすれものたちは、いったいどこにいってしまったのでしょう?
「こまったなあ……。」 たて笛をなくしてから今日で1週間。 音楽会を明日に控えた3年生のツトムは、クラスで演奏する笛の合奏で、ひとりで笛を吹く独奏の重要な場面を任せられています。なのに、肝心の笛が行方不明に。家じゅう探しても見つからないばかりか、どこでなくしたかも思い出せずにいます。
なんとか明日までにたて笛を見つけなくては! 夕方もう一度学校に探しに出かけたツトムの前に現れたのは、黒いマントをひきずった大人のような子どものような二人組の男。名前はサントスとニブラ。二人はあちこちでわすれられたものを集めてきては、「わすれものの森」へ持っていくのが仕事だといいます。「わすれものの森」では、わすれられたものは、いつの間にか木の実や花に変わってしまうというのですが、ツトムの笛ははたして無事なのでしょうか?
笛を取り戻すために、ひとり森へ向かうツトム。暗い森の中を進んでいると、「わすれられたものたちは わすれたひとを わすれない」という不思議な歌声が聞こえてきて……。
作者は、日常の中に不思議が混ざるエブリディ・マジックの物語で、子どもから大人までをたちまち物語の世界に夢中にさせてくれる岡田淳さんと、岡田さんの大学時代の後輩である浦川良治さん。ともに神戸の小学校で図工の先生をしていたお二人が、ある時、「なくなったものたちは、どこでどうしているのか」という話で盛り上がり、そこからこのお話ができていったのだそう。そして、絵もまたお二人によって描かれ、人物は岡田さん、森は浦川さんが手がけられたという楽しい合作で作られた作品です。
実は1975年に『忘れものの森』として出版されていたこちらのお話。しばらく絶版になっていたそうなのですが、ぜひ復刊してほしいとの声を受けて、このたび40年ぶりの復刊が実現しました! 読み終えて、こんなに面白いお話をまた子どもたちに届けられることを本当に嬉しく思いました。 ひとりで読むなら小学3年生ぐらいから。 もし面白い本はないか探していたら、ぜひこちらをおすすめします。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
音楽会で吹く笛を、なくしてしまったツトム。放課後の教室でさがしていると、あやしい二人組に出会います。なんと二人はわすれものを集めて、わすれものの森へと持ち去っていたと言います。ツトムは笛をとりもどすため、二人に森へ連れていってくれるように頼みますが…。 1975年に「ねべりよん」のペンネームで『忘れものの森』として文研出版から発行された作品を復刊しました。子どもたちにとても身近な「わすれもの」をテーマにした作品で、「わすれられたものたちは、わすれたひとをわすれない」というフレーズが印象的です。日常の世界とファンタジーの世界が見事に調和した秀作です。 ドキドキわくわくの世界をお楽しみください。
わすれものも日が経つと、わすれものの森へ行ってしまう…たしかに思い当たるかも。
私もわりとわすれもの・失せものをしてしまうほうです…。安易にすぐ買ってしまうのですが、反省したいと思いました。ものは大切にしましょう。
わすれものの森のみんなの最後の態度が好きです。
岡田 淳さんと浦川 良治さんお2人で作られた合作なのですね。 (みちんさんさん 30代・ママ 女の子4歳、女の子2歳)
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