
毎日、観音様へのお祈りを欠かさない、信心深いお父さん。 ある日の仕事帰りに夜道を歩いていると……
ピタピタ、ゾゾゾ、ガッチンガッチン……
不気味な音を立てて背後から近づく怪しい気配。 あらわれたのはなんと、鬼や妖怪の大行列!
命からがら難を逃れたお父さんですが、そのときに浴びた鬼のツバのために姿が消えてしまいます。 声も届かず、姿も見えず、家族にすら気づかれなくなってしまったお父さん。 どうか、もとの姿に戻してくださいと眠らずにいく日も祈っていると、やがて観音様のお告げがあって―
おそるおそる振り返ったお父さんの目の前に迫る、妖怪たちのすさまじい迫力がまさしくみどころ! 妖怪たちはカラフルでにぎやかな造形ながら、その華やかさのためによけい凶暴でおどろおどろしく見えます。
平安時代に成立したとされる今昔物語集、そのうちの一編「鬼の唾で姿が見えなくなる話」をもとに絵本化した本作。 夜闇には鬼や妖怪が徘徊し、信心深い人は守られ救われる、そんな日本古来の感性で紡がれた、恐ろしくも優しい一冊。
(堀井拓馬 小説家)

鬼に唾をかけられ透明人間になってしまったお父さん。観音様のお告げに導かれ、出会ったのは・・・。『今昔物語集』 の一話をユーモラスで迫力ある絵本にしました。

毎日仕事に行く前に、観音様に庭の花とお線香をお供えして「どうぞ今日も家族が無事に過ごせますように」と、お祈りして出かけていくおとうさん。その甲斐があって鬼や妖怪から食べられずに命だけは助かってよかったと思いました。鬼たちにつばをかけられて姿を消されてしまったけれど、また観音様にお願いして観音様に助けられて姿も元に戻ってよかったです。とうさん、かあさん、二人の子ども、ばあさんとまた5人で暮らせるようになったのは、観音様に「お祈り」を毎日欠かさずにしたからだと思いました。裏表紙の二人の子どももとうさんが仕事に行く時に、観音様にお花と線香をお供えしてとうさんのでかけるのをお見送りしている姿にも感動しました。 (押し寿司さん 60代・じいじ・ばあば )
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